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                         シードゥ アイランディア試乗記

2006年7月21日
ボート月刊誌より




■“悦楽船上空間”を具現化したハルデザイン
一時は国内カタログから消えていたが、2006年から発売が再開されたこのモデル。
2001年の発売当時から、あれ良いよね、という声は多かったのだが、マーケット戦略との食い違いからか、思うように販売台数が奮わなかったようで、ここ数年は国内カタログから姿を消していたが、エンジンがマーキュリー1基掛けからロータックス2基掛けにモデルチェンジされたのを機に再登場と相成った。
恐らくは国内マーケットからの声に応えるという意味あいもあったとは思うのだが、なにせ僕自身も以前から、あれ欲しい ! と熱望しているモデルであったので、今回の試乗は待望の瞬間であり、前夜から遠足前の小学生のように眠れぬ夜を過ごしたほどだ。

取材当日あらためて実艇を見ると、何度観ても良いデザインだなと、フロントサイド、リアサイドから見上げホレボレする。
まさにIt's a Party Boatを具現化したようなフェイスデザインとデッキ各部の絶妙な配置。
特にノーズ両端に設けられたちょっとツリ目のブラックマウントと球状ライトは、一目でこのボートがアイランディアであることを事もなげに主張する。

まずはフロントデッキから乗船。
他のプレジャーボートには殆ど見受けられない、ほぼ全幅に近いフロントプラットフォームには折り畳み式ラダーが装備されている。
おそらく欧米では、浅場に強いジェットポンプドライブを活用してのビーチングに利用するオーナーが多いのか、とても気の効いた装備だ。
そこからほぼ半円状のソファーエリアを通り抜けコックピットに座ってみる。

シートは小振りの2人掛けベンチタイプ。
横幅が微妙に狭めで、下俗な男心をグリッとくすぐる丁度良いサイズだ。
左側に目を移すと、同じく2人掛けのベンチシートとビルトインクーラーボックス、物入れが付いたギャレーなどを配置。
コックピットの真後ろはワンタッチでベットにもなる3人掛けベンチシート。
さらにコックピット前部の把手を引き開くと、個室トイレを兼ねた着替えスペースが出現し、頭上ではオーニングが、コンパクトサイズとは思えないほどの広大な日除けゾーンを創り出す。

全長6.7×全幅2.5mと、ジェットボートとしては大ぶりのサイズとはいえ、限られたスペースにこれだけのリラックスエリアとユーティリティ装備を絶妙に配置したデザイナーにはお世辞抜きで賛美を贈りたい。
何せ、このデッキレイアウトを眺めているだけで、春夏のうららかな休日に友人や家族と、海上でくつろいだ一日を過ごしている絵図が自然とアタマに浮かんでくるのだから。

■リファインしたパワーユニットは最高 !
さてさて、陸上でのインプレはとっとと済ませて待望の試乗だ。
欧米のマリンシーンよろしく、ごく普通の三菱製RV車でスロープに降ろし、桟橋に浮かべる。
絵になるなー、この風景。
陸上で見るのとは違い、そんなに大柄には見えない。
ま、これはアイランディアだけではなく、幾多のボートで良く感じることではあるのだが。

電子キーを差し込み、SEA DOO製のパーソナルウォータークラフト(PWC)では聞き慣れた電子音を確認してエンジンスタート。
ズオー、と低音の効いたアイドリングノイズは予想に反し少し小さめだ。
リバースで桟橋を出ようと操船するが、アレレ…ボートは予想に反し逆の動きをする。そうそう、ジェットポンプはリバース装置の仕組みが独特なので、ステア操作は通常と逆になるんだっけ。
慣れれば何てことはないようで、手間取る私を見兼ねて操船を代わったジェットフィールド湘南主宰の加藤氏は、ごく普通のドライブ船のようにスイーッと離岸させてしまった。

このボートは新規登録検査後、初航行とのことなので、しばし遠慮し1/2〜3/5スロットルでのドライブ。
シングルスロットルでのエンジンコントロールは、ツインドライブに慣れたエキスパートレベルのユーザーには少々物足りないかもしれないが、ビギナーや普段シングルドライブに慣れているユーザーには嬉しいデバイスだろうし、エキスパートユーザーでもおそらく不満はでないだろう。

しばしの慣らしを兼ねたドライブの後、フルスロットル。
いやぁ、22フィートクラスの大型ジェットボートらしからぬ気持ち良い加速感だ。
あれれっという感じでメーターはいつの間にか42マイル(約67km/h)を差している。
二十歳の頃から10年以上、PWCでのレース業界にどっぷり漬かっていた身の僕が気持ち良い加速だと感じるボートはそうそう無いのだが、アイランディアは間違いなく、その数少ないボートのうちの1艇にはいる。

■ビギナーにもやさしいハンドリング
しばし川でのベタ凪ぎクルージングを楽しみ、海へ出る。
若干の南風、波高0.7〜1メートルというところだろうか。
ハーフスロットルでのヨーイングを軽く試すと、クイックレシオのステアも相まってノーズはレスポンス良く反応する。
このあたりは、スクリュー艇の操船に慣れたユーザーにはとまどうフィーリングかもしれないが、元来スピード大好きの僕や、ふだんPWCに慣れ親しんでいるユーザー層には嬉しいセッティングだ。

ある程度、ハル特性に慣れたのを良いことに、また、同乗するBRPジャパン・清水氏の笑顔に甘えフルスロットル。
面白い ! お世辞抜きで楽しいハルセッティングだ。
当日の弱い南風であおられたチョッピーかつ若干波高のある海面でも躊躇なく全開で奔れる。
多少意地悪く、ウエーブのダウンサイドを全開のまま突っ込んで行っても、ノーズは潜ることなくスッと波面をなめるように超えていき、そのままアップサイドへと駆け上がる。

多少、飛距離のあるジャンピングをこなしたノーズ落ち気味での着水時も、予想に反し驚くほどハルが叩かないうえに水被りも極少だ。
何とかしてウイークポイントを見いだそうと、やっきになって意地の悪い操船を試してみるのだが、左舷シートに座る清水氏は、四肢で体を支えながらも、悦楽なホリディを楽しむかのように笑顔が増すばかりで、むしろ顔がこわばってくるのは僕の方であった。
なんせ、まるでレールを敷いたかのようにグリッピーな旋回性とは裏腹なコックピットのベンチシートのおかげで、競急なステア操作を繰り出しながらの体勢保持に四肢をフル活用しつつ四苦八苦していたのだから。

アラ探しは諦めてクルージングモードでの旋回性をチェック。
他ブランドのジェットボート幾種では、波間での急なステア操作でスピン動作に近い動きがしばし表れるのが常であったが、少なくともアイランディアではそういった不穏な挙動は皆無であった。ジェットポンプドライブ特有の特性である、常にスロットルを少しでも開けた状態でのステア操作さえ心掛けていれば、それが例え波越えしながらの旋回であってもリアが振り出すこともなく、緩めのバンキングを伴いながらグイッとノーズをインサイドに向け、あくまで己が示唆したステア角に忠実に、綺麗に航跡を描いていくのだ。

正味小1時間のオーシャンライドを楽しみ、帰途へ向かう。
出航時と同じ河でのフルスロットル時、メーター表示は45マイル(約72km/h)と若干伸びていた。おそらく、多少エンジンがこなれてきたのだろう。
既に同型艇を入手済みのユーザーからは、平水でコンスタントに80キロ出てるよ、と聞いているので、慣らしを終える頃にはもう少し伸びるのだろうか。

■ISLANDIAで海遊びの幅がとめどなく広がる
ドライブコンポーネントに関してだが、このボートにツインで搭載されているROTAX1503型はSEA DOO製PWCで初期出荷から既に3年を経ており、当初懸念されていた初期および経年不良やウイークポイントがほぼ出尽くしたと言って良いユニットだ。
また、通常のプレジャーボートではドライブユニットに該当するポンプケースも、同じくPWCでは何年も使われているユニットであり、どちらも業界ではメジャーなパーツなので、ボート販売店だけでなくPWC専業の販売店で購入しても、メンテナンスに難儀することはないだろう。
国内販売されているプレジャーボートでは唯一といって良いほどの魅力的なオープンデッキレイアウトと、旧モデルにはいささか足りなかったジェットボートならではの爽快感あふれる航行性能。
四季のある日本ではキャビンレスボートが利用頻度の少ないジャンルであるのは確かだが、その少ない季節を気の合う仲間達と存分に楽しむツールとして、決して安くはない金額をペイする価値が、このボートには充分、いや十二分にある。
それは、僕だけでなく、マーキュリー1基掛けの旧モデルを既に所有している某ユーザーが、この日の夕方に同艇を正味5分ほど試乗しただけで、その場で販売店にオーダーをかけたという事実からも証明ができるのでは !?


スタンディングで操船すると、視界はこのようになる。


フロントデッキだけでも4〜5人は優にくつろげるし、子供の居る方は、ここに座らせておけば、常にその姿を視界に入れつつ安心してクルージングができるのでは ?

コンビニエンスセンターと名付けられたギャレー装備。


写真に無いのが残念だが、U字タイプの水栓が標準で付く。収納箇所は此処の他シート下部などに、これでもかっというほど各エリアに設置されている


ポータトイレットとルームランプも装備したワンタッチのチェンジングルーム。


着替えとお化粧のための小部屋は、海を嗜む女性に必須の装備でしょ

各計器とドライビングに必要なスイッチ類は全て手の届く範囲に集約。

アッパークラスボートの象徴だろう、ウッド調のパネルで装飾されている。

シングルスロットルだがタコメーターはツインで装備


●主要諸元
全長 6.70m  全幅 2.52m  喫水 0.30m
乾燥重量 1540kg    燃料搭載量 192L

●セットエンジン
Rotax 4ストローク3気筒SOHC(155ps)×2

●船体材質 FRP

●主な船検関連仕様 定員12名 航行区域 限定沿海

●主な標準装備
フロントボーディングプラットフォーム・アバンダント オンボードストレージ
キディープール イン バウ・チェンジングルーム ウィズ トイレット
コンビニエンス センター ウィズ ビルトインクーラー・クラリオン CDステレオ
リア シーティングコンバーツ トゥ サンパッド・フレッシュウォーター シャワー
リアボーディングプラットフォーム etc

■価格(税込み) 
5,512,500円

■問い合わせ
BRPジャパン 〒210-0005 神奈川県川崎市川崎区
東田町8 パレール三井ビルディング15F
TEL 044-200-1431 
http://www.brp-jp.com





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