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2006年7月17日    
ボート月刊誌より




ヤマハ YF−23徹底検証 (2002年12月発表)



特許を申請したというハル形状を持つYF-23。
それだけこのハルに自信と期待があるということだ。
確かに、これほどハル形状の恩恵を実感できるボートは、あまり記憶にない。
あるスタッフは「ディープV]の登場に匹敵するとまでいう。
早速その実力を検証してみたい。

◆日本的ではなく日本型フィッシングボート
最初にプレス向けの試乗会でこのYF-23を目にした時には、その異様なハル形状に驚かされてしまった。
世界でも類の無い(風流れ特性を考慮してボートを設計するなんて日本以外にあり得ないから当り前の話なのだが…)、まさに独創的な形状だ。
そして実際のドライビングで、さらに驚かされた。
ある程度ボートのことが分かっている人なら、このハル形状を見た後でボートを走らすことに若干の不安を感じるかも知れない。
一般的にフォアフートが深く入りやすい船型はブローチングしやすくなるという先入観があるからだ。
確かに風流れ特性をよくするためには、船首側の水面下の面積を大きくしてバウを流れにくくすることがポイントになってくるが、それと相反して走行時に悪影響がでてくるとされていた。
このトレードオフともいえるこの要素を両立させることは、特に重量が船尾に集中する船外機艇では困難とされ、インボート艇に比べて、小型の船外機艇は流し釣りなどの日本的な釣りが苦手といわれたのも、そういったことからだ。

しかし、このクラスの国産フィッシングボートにあった、そういったある種の妥協感が一気に吹き飛んでしまったのだ。
東京湾特有のチョッピーな波になかでもフルスロットルで走らせることにまったく躊躇しない。
バウのひっかかりなどもほとんど感じない。
というより、そのユニークなハル形状は、しっかりと波を切りその衝撃をやわらげてくれる。
これまでこのクラスの国産フィッシングボートの主流だった和船発展系のボートとは明らかに異なるドライブ感だ。
もちろん風に流してみても船首がゆっくりと振れ、真横からさらに風下に振り落とされることもない。
このクラスの船外機艇ということから考えると、まさに「革命的な小型フィッシングボート」といっていいのかも知れない。
間違いなく新たな方向性を打ち出したボートだ。そういった意味では「日本ボート史に残る1艇」という表現もけっして大袈裟ではないはずだ。多くのボートフィッシングユーザーが待ち望んでいたボートの登場と言ってもいいだろう。

ごく一般的なウオークアラウンドモデル。

フロア下も有効に使用できるようにしたバウカディ、フルフラットで広々とした船尾側のオープンスペースがデッキレイアウト上の特徴になっている。

またフレアを強調したフラットなバウデッキは、このクラスのフィッシングボートとしては、釣り機能や作業性を格段に向上させている。


◆風流れ特性と走航性を格段に向上させた形状
そういった小型船外機艇ながら、風流れ特性を格段に向上させると同時に走航パフォーマンスや乗り心地も高いレベルで実現したのが、MV-Rという船型に組み合わされた、W.T.B.という特殊な形状によるものだ。
MV-Rとは、ヤマハが独自の技術を駆使して開発した次世代ハルで、快適な乗り心地や素直なドライビングを可能にする。
すでにいくつかのモデルで採用され、それなりに評価を得ている船型である。

そのMV-Rをベースに風流れ特性を向上させるために開発が進められていたのがW.T.B.(Wave Thruster Blade)である。
意味的には「波を突き刺す刀」「波をぐいぐい押し進むための刀」といったことになるのだろう。
確かに出刃包丁のような角度を持った大型のスケッグだ。
いや、というよりは、第2のハルといってもいい存在感がある。
つまりWハルという捉え方だ。
ステムの中央付近からミッドシップ後方にかけて、まるで通常のハルの上にもうひとつ別のハルを乗せたような形。
それは、まずスケッグという発想からは生まれてこない形状のような気がする。

確かにこれだけの膨らみが船首部分についていれば、水中に沈んでいる部分の側面積は大きくなり、左の図でもわかる通り、その面積中心点を前よりにすることができる。
つまり、船首が風下に向きにくくなるということだ。
さらに水中と逆に水面上の側面積中心点を船尾方向に向くように工夫すれば、さらに船首が風下に向きにくくなる。
このYF-23の場合は、この水中と水面上の2つの中心点が近い位置にある。
この位置関係を風流れ特性のバロメータとすれば、この図からだけでもかなり良好な形状だというのがわかるだろう。

MV-R船型にW.T.B.を組み合わせた独創的なハル形状。

MV-R船型は、Modernized V for Relianceの略で、「信頼性のために現代化されたV」というニュアンスを持った名称。

ヤマハ独自のSIM技術を用いて開発された次世代ハルで、すでに「ルネッサ」などで実証済み。

風流れ特性がいいというのは、船首が風下に向きにくいということ。

できるだけ空中側面積の中心よりが後方寄りに、水中側面積の中心を前方よりにすることで、船首が風下を向きにくくなる。

YF-23の場合、W.T.B.によって水中側面積の中心が前寄りになっている。
空中側面積を小さく、面積中心を後方寄りに


水中側面積を大きく、面積中心を前寄りに


しかし一方で、風流れ特性を良くするためにフォアフートにこういった大型のスケッグを取り付けると、かなり走航性に悪影響が出ると思うのが一般的な考えだ。
フォアフートが深く入りすぎればブローチングを起こす可能性が出てくるし(ブローチングの発生する原因はそれだけではないが…)、逆にそれを防ぐために船首に浮力を持たせれば、波を切る時に抵抗となって衝撃が強くなったり、速度が低下したりしてしまう。
例えば今回のW.T.B.を横から見た時と同じ大きさのスケッグを平枚で取り付けたらどうなることだろう。
おそらく、かなり困ったボートになってしまうはずだ。

そう考えるとW.T.B.の大きなポイントは、50度以上というV角をつけたことにあるはずだ。
これによって風流れに有効な面積は確保しつつ、旋回時などではうまく水を逃すようになっているのではないだろうか。
まさにMV-R+W.T.B.のWハルの恩恵を生み出したのだ。

横から見るとステム下部から大きなスケッグが付いているようだが、正面から見るとその部分に角度が付いているのが分かる。
まるで“親亀の背中に子亀”といったような「Wハル」構造になっているのだ。
Vの角度は50°以上で、おそらくこの角度を付けたことがミソなのだ。

◆秀逸なドライビングフィール
そのW.T.B.は、小型船外機艇にインボード並みの優れた風流れ特性をもたらしただけではなく、当初予想しえなかったほどの乗り心地の良さを実現してくれたという。
確かにそれは実際の試乗でも明らかだった。
東京湾のやっかいな波も難無く走っていける感覚は、これまでのこのクラスのボートから考えると驚きだった。
それは、やはりこのWハルによって得られたWサスペンション効果なのだろう。
まずW.T.B.の50度という鋭いV角で最初の着水時の衝撃を一旦吸収し、さらにMV-Rで姿勢を制抑しながらショックを吸収する。そういった効果があるようだ。

またそれだけではなく、このYF-23は、これまでの同クラス艇と比較して船が大型化し、また強度をましたことで約30%ほど艇体重量が増加している。
このクラスの国産艇はもともと重量のあるボートではなかったから、この30%の影響は思っている以上に感じるものではないだろうか。
当然ボートの重量が増えれば、それなりのメリットも発生してくる。
まず走航時の衝撃が少なくなる。重量が30%重くなると、衝撃は約24%も低減されるという。
さらに加重バランスが良くなる。
どういうことかというと、人の移動することで発生する傾きが、30%の重量増加で約15%低減される。
さらに強度を増したことで剛性も向上し、波叩き音が低減する。(数値はヤマハの資料に基づく)

まるでいいこと尽くめのようだが、なぜ今までそれができなかったのか。
もちろんコストの問題である。
当然重量を増やせば、船体価格に影響するし、燃費も悪くなる。
ではどうしてそれがYF-23では可能になったのか。ひとつはボートの造り込みに対する考え方が根本的に変わってきているということがある。
軽量で低馬力のエンジンでそこそこ走るというボートではなく、しっかりした船体を十分なパワーで走らせようという考え方に変わりつつある。
当然燃費が格段に良くなった4ストロークなどの新世代船外機の普及の影響も大きい。
ただそれだけではなく、このYF-23は最初から建造コスト全体を徹底して見直したことで建造コストの増加を抑え、それが実現できたのだ。


◆小型船外機艇でもこれだけ楽しませてくれる優れた風流れ特性
        風流れ特性を体感するための実験を敢行
もはやWハルという名称で呼んでもいい船型がもたらした、風流れ性能と走行性能。
これら2つがいいということは、一体どういうことなのだろう。
それがどんな遊びを演出してくるのだろうか?

風流れ性能がよいボートは、船首が風下も向きにくい、それに風に流されにくいことを指す。
この特性は走行時でも停船時でもメリットとして還元されてくるのである。
ここでもう一度ボートの特性をおさらいしておこう。
それはボートは走行時、船尾を押し出すようにして旋回するという大前提である。

風流れ性能に優れるボートの走行時のメリットだが、明確に感じとれるのは離着岸時だろう。
スローで桟橋にアプローチした時、船首が横から風を受けも流されにくければ、船首がその場に留まる時間は長くなる。
この時にハンドルを切ってエンジンを少し吹かしてやれば、「船尾を押し出す」のだから桟橋にピタリと着けられるのである。
つまり操船が楽というメリットに繋がっているのだ。

では巡航時はどうだろう。
風に落とされにくいのだから当て舵をしなくてすむ。
ということは直進性もいいはずである。

それはさておき、風流れ性能がよく、しかも耐波性に優れているYF-23。
この2つが複合すると、楽に遠くまで走れることに繋がる。
これを釣りに当てはめて考えれば、「より遠くのポイントへ行けるというボート」として還元されてくるのだ。
遠くまで走れれば、「あわよくばカジキ」も決して夢ではない。
カジキとファイトするのにボートのサイズは関係ない。
ハワイのコナでは、20フィートのボートでさえカジキとファイトしているのである。

さて話を戻そう。
今度は停船時。
風流れに優れ、しかもそれが風の軸より後方に流れていくという特性を備えているYF-23。
つまり風に流されても、始点までは前進で戻れるだ。
これを流し釣りに当てはめて考えれば、最初のポイントへ戻りやすい、それに釣りをしている時間が長くなるというメリットとして還元されてくるのである。
しかしこれに潮流れが絡んでくると、話としては非常にややこしくなる。
風と潮。
これを高度に征服しようとしたら、スパンカーを装備すれば可能となるのだが、そうした可能性を秘めた、夢いっぱいのボートと言えるのである。

◆離着岸時のメリット
狭いマリーナの中で、風にボートが流されてなかなかボートがうまくコントロールできない。
恥ずかしいやら困ったやら、でも多くの人がこういった経験をしているのではないだろうか。
しかし風に流されにくいボートだったらどうだろう。
おそらくこのYF-23まら、そういったビギナーでも落ち着いて、ボートをコントロールできるのかも知れない。
風流れ特性に優れているということは実は離着岸でも大きなアドバンテージになるのだ。
風のある狭い水域でボートの操船がうまくできない理由は、何度か切り替えしたり、操船をもたもたしている間にどんどん風に船首が落とされて、いきたい方向になかなか船首をむけられないときだ。
さらにスローでは舵が利きにくいため、もっとボートコントロール難しくなる。
考えただけでも、このYF-23はその辺は扱い易そうだ。

◆掛かり釣りやキャスティングでの効果は?
そして次に行ったのはアンカーリング時の振れ回り実験。
船首正面の3方ローラーを通してアンカーロープを出し、風流れ実験と同じように、115馬力1基掛けのYF-23と同クラスボートと2艇を平行するように並べて挙動を比べてみた。

アンカーリングは一般的には船尾側から掛ける方が振れ回りは小さいといわれている。
はたしてこのボートの場合も掛ける場所によってそうした違いが出てくるのか、船尾にも掛けてみることにした。
この日の風と潮の関係だが、風は6〜8メーター位。
これに対し潮はほぼ直角に1ノット弱で風上に対し右方向から流れている。
潮の流れは港から出た先のブイのロープと水流で確認できた事柄である。

まず最初の実験。YFー23/F115と比較艇で行なった。
7kgに2メーターほどチェーンを付けたアンカーを投入。
この付近の水深がおよそ10メートルだったので、約30メートルほどロープを繰り出した。
比較艇と極力条件を合致させるよう、ロープの長さを同じにし、暫くの時間走錨がないよう常時確認しながらそのままにした。
理論的には、潮をキャンセルした場合に限って、風に流されにくいボートなら振れ回りが小さいことは想像がつく。

しかし、これに潮や波が作用したらどうなるか?
この日の条件の中においては、決定的とも言える結果が出たのである。
YFー23は風の軸に対し、船首が潮上に10度位向いた状態で見事なまでにピタリと止まってしまったのだ。
それは固まったと表現してもいいくらいにである。
比較艇はというと、こちらの方は見事なまでに「横振り子運動」を繰り返していたのである。

次はYF-23だけにして、船尾アンカーウインドラスの場所から掛けてみたが、これも同じようにYF-23はピタリと止まる。
今回やってみた感じではどういった掛け方をしてもそれほど大きく振れ回ることがなかった。
後はどこでロープを固定するかはその時の潮の関係で、潮上に立つように斜め掛けをして、両舷での釣り易さを確保するだけだろう。


◆スポーツマインドを感じさせる2基掛け
このYF-23に2基掛けモデルが用意されたのは、スポーツフィッシング系のユーザーを意識してのことだろう。
確かにトランサムにエンジンが2つ並んだだけで、一気にスポーティな雰囲気になるから不思議だ。
これまで日本ではツイン・アウトボード艇は、あまり一般的な仕様ではなかった。
メンテナンスコストや燃料など、船価だけでなくランニングコストだって単純に考えても倍になってしまうのだから無理もない。
しかし、2基掛けには2基掛けのメリットもあるのだ。
例えば、外洋でビックな回遊魚系の大物がヒットした時にラインをトランサム側にいかないようにキャプテンは、常にボートをコントロールしてアングラーをサポートしなくてはいけない。
そういった時に2基掛けは、その場でボートを回すことが可能なため、ウォークアラウンドを駆け回るアングラーの慌ただしい動きにも十分対応できるのだ。

またシーバスなどでも、複雑なストラクチャーをガチガチに攻める時には、やはり2基掛けの方が操船しやすい。効率的なポイントへのアプローチが可能になるのだ。
さらにセーフティという部分もある。比較的静穏な水域ならシングル+補機でもなんとかなりそうだが、ちょっと外洋に出た時にメインエンジンにトラブルが起きてしまったらどうだろう。
多少波がある海面をわずかな馬力の補機で帰ってくるのはかなり困難だと思う。
そういった危機管理的な意味合いから2基掛け仕様を選択する人もいる。
当然最高速など走りのパフォーマンスにおいても、モデル中最速である。
新世代船外機の進化によって得られた燃費のアドバンテージがあるのだから、思い切りスポーティなスタイルでフィッシングゲームを楽しむのもいい。


◆フィッシャビリティの検証
基本性能の次は、実際の釣りにおけるYFー23の使い勝手を検証してみた。
前部デッキおよび通路、それに後部の広いコックピットでの釣り。
釣り人がジッとしている釣りと移動の激しい釣り。
さらには大きな要素であろう操船しながら釣りをしてみるなど、いくつかの場面を想定して実際にロッドを出してみた。

さて、このボートの特徴のひとつであるフラット面の多さだが、想像からもわかるとおりフラット面が多ければ足元を気にする回数も減り、釣り易いのは確かなこと。
それは身体の重心移動を伴うキャスティングや大物とのファイトでロッドをしならせたまま、ほぼ全周を動き回る釣りにおいては特にメリットのあることになる。
前部のデッキと通路、それに後方の矩形のコックピットといい、フィッシングボートとしての資質はきっちりと押さえられているのである。

さらに、このボートの特徴的なことに舷縁がウォークアラウンド部分も含めて垂直に立ち上がっていることがある。
これは膝を曲げて舷に当てて身体の安定を図ろうとする時、とても有り難いことなのだ。立ち姿勢で釣りをしている際のボートの動揺時、大きく合わせを入れる時、魚とやりとりしている時には、かけた魚が大きいほど何かとこの姿勢をとる回数が増えるはずだ。
またコックピットの深さは中央付近の一番深い所で平均的な身長の大人の太腿付近までと十分。
しかし船尾方向に行くに従い浅くなり、最後部付近ではちょうど膝のあたり。
釣り機能という次元では少々残念なところではある。 

  SIDE WALK
        
舷縁は本来の舷縁の上にさらに別体の舷縁が被る構造のオープンガンネルが採用されている。この舷縁上面も幅広く、後艤装が考慮されている。中央の窪みはなんらかの立ち上げを工夫してつければ、小物の置き場所として重宝する。また舷縁の立ち上がりの所はつま先が膝位置よりも深く入り、身体を支えやすく造られている。オプションのデッキウォッシュの設置場所は写真の位置。吐出量も申し分ないだろう










キャステングやジギングなどロッドを大きく動かす釣りでは、前方を好むアングラーも多い。これは通路横向きの姿勢での釣りだが、通路、サイドデッキ、ハウス前方で腰と自然な姿勢で3点支持が得られる。また通路は真っ直ぐに歩ける幅があるので大物とのファイトでロッドを持ったまま動き回るケースにも対応可能だ。



 FORE DECK

【フォアデッキのフィッシングスペース】

湾奥のシーバスのストラクチャーゲームに良く見られる光景である。実際にはボートをスローで走らせながら、この位置に2人、船尾に1人の計3人が同じ舷側にキャストする。バウレール人の膝の位置に注目だ
底物釣りでは4人までは後部コックピットで釣りとなるであろうが、ゲストを呼んだりして釣りをする人数が増えた時や、前で釣りをするのが好きという場合には、たとえ底釣りでもここに腰掛けて釣りをすることになるだろう。
デッキは前方に行くほど広くなる。ちょうどコーナーのあたりのデッキ上でアグラを組んでペタンと座っての釣りも行ってみたが、なかなかこれが快適!





上の写真はオフショアでのキャスティングなどで良く見られる姿勢である。たとえばナブラ討ち。ナブラめがけてスーとスローで走り、後は惰性で近づいてキャストするというような場面だ。この位置なら左右広範囲へキャストが可能となる。本当は立ち上がってキャストしたい所だが、波のある日などは不安定となりやすいので、この姿勢のままキャストする場合も多くなる。そうした場合でもフラットデッキのメリットは大きい。
左の写真はライト感覚の釣りや、あまりボートに慣れていない人がキャスティングやジギングをする時の光景。ハウスは全面に腰掛けて身体を支えるのにもなかなか都合がいい。


【アンカリング作業】
これは用品オプションだが、3方ローラーは掛かり釣りならずとも装備しておきたい。



多くの場合アンカー入れとして活用するが、右舷側に設けられているので右効きの人には有り難い

装備品があって完全なフラットではないが、面自体に凹凸がないので、当然のことながら立った時にどっしりと構えられる。デッキは釣りのみならずいろんな作業する場所でもあり、このデッキ上に立つというケースも少なくない。そうした場合にもフラットデッキのメリットは大きい。この写真はアンカリングの作業であるが、作業者に不安定さは見受けられない。また釣りにおいてパラシュート型アンカーを使用する場合、投入と引き上げをこの場所で繰り返したり、もしくはパラシュートアンカーをコントロールしながら釣りをする場合も想定されるが、いずれにしても作業に支障になることはないだろう。



COCKPIT
船尾側と中央付近ではコックピットの深さが異なる。舷縁は下のイラストのように、つま先が膝位置よりも深く入り、身体を支えやすくしてあるため、立ちやすさイコール釣りやすさにつながっている。またオプションのサイドスターンレールは尻手ロープをとったり、簡易なエサ箱をクランプしたりと何かと便利だ。
コックピット中央の前方に設置された船底貫通型イケス。水量は申し分なく水面の高さは約30センチほど。
スカッパーはイケスの後方の左右に2ケ所、そして前方左舷側の計3ケ所。
イケスの水が高速走行時も排出されず、水がゆっくりと循環する優れたイケスだ。
コーナーのRを大きくし、魚にダメージを与えにくくしているのも特徴だ。



【船尾にもウインドラス】

関西や瀬戸内、それに四国など潮の極めて速い海域では、船首とともに船尾からもアンカーを掛けて釣りをする。そうした釣りの中でも代表的なのは浮き流し釣りだろう。そのためにオプションとしてスターンウインドラスが用意されているが、それを装備するためのスペースも造られている。
コックピット後方には3つハッチが並んでいるが、この中は中央が120リッター燃料タンク、右がバッテリボックス、左が物入れとなっている。バッテリボックスは写真のように2個入れられるようになっている。また物入れはここに予備の燃料タンクを入れることも前提として造られている。
  



標準装備と純正オプション装備
■主要装備品
・バウスプリット
 (一体型)
・バウレール
・クリート×3
・ロープロッカー
・ハードトップ
・フロント&
 サイドウインドワイパー
・ウインドウォッシャー&タンク
・タコメーター
・燃料メーター
・アワーメーター
・サイドレール
・ピラーレール
・ステアリングホイール
・木目調メーターパネル
・カディエアインテーク
・カディルーム
・イケス
・イケススカッパー
・フロアスカッパー
・クリート×2
・燃料タンクスペース
・スターンロッカー
・バッテリースペース
 (2個収納可能)
・補機搭載スペース
・燃料タンク
・バッテリースイッチ
・スイッチパネル
・ブレーカーパネル
・予備配線
■オプション装備品
・ナビゲータBOX  
\39,500
・ドライバーズシート
 セット 
\148,000
・リーニングシート
\45,000
・コーナーベンチシート
\20,000
・デッキベンチシート
\50,000
・カディフロアパネル
\78,000
・電動マリントイレ
\95,000
・ルーフエアインテーク
\9,500
・カーゴレール
\7,800
・サイドスターンレール
\22,000
・スターンハンドレール
\10,000
・トリムメーターセット
\11,000
・デッキウォッシュ
\34,600
・航海灯セット
\24,000
・ルームライト
\3,200
・非常始動用電源システム
\42,000(1基掛用)
\32,000(2基掛用)
※価格に取付費、消費税は含まない


CONSOLE

【ヘルムステーション】
コンソールには魚探など電子機器類を装備できるスペースがある。下の写真の中央部のボックスはオプションのナビゲーターボックスの蓋を外したところで、このボックスは7インチクラスのGPS魚探などが入る。また上部のエアーインテークもオプション。このヘルムステーションは平均的な大人2人が並べる広さ。







【操船席からの釣り】
オーナーアングラーの釣りにも対応する造り。通路は足を置くにも程よい高さだ。このドライバーズシートはオプションだが、写真の通り、左手はエンジンリモコン、右手はロッドという体勢。しかも安全のため見張りもしなければならず、このシートに座れば全体が見渡せるポジションとなるだけに、装備しておきたいオプションだ。



CUDDY
  
カディ内部は入口から前方の隔壁までの長さがおよそ180センチ。
一般的な荷物を持ち込み、さらに大柄な人が仮眠できるほどの広さがある。入口を入った両側、つまり上部の通路下は長尺物の収納もできるスペースとなっている。
ワンピースのトローリングロッドやキャスティングロッドなどもこのように置けば収納できた。

カディを入ってすぐ右側の壁面にはブレーカーパネルなどスイッチ類が集中。
左からウインドラスブレーカー、中2つがブレーカーパネル、右が直流電源メインスイッチとなる。
また、カディには電動マリントイレもオプションで用意される。
トイレ手前の右側には魚探用トランスデューサー設置推奨スペースもある。




◆速度と燃費消費量
船外機船は流し釣りには向かない! 良く聞く言葉である。
船を水面上で安定させ、潮の流れに乗せるために有効な手段は、水中深くに船体を沈め(排水量型)海面上にある構造物を小さくすることである。しかし、この船型では喫水線長の短い小型船はスピードを出すことができない。排水量型の小型船でスピードを追求すれば、不経済な船になってしまうというのは、誰でも理解できるでしょう。

造船材料として比強度の大きいFRPで造られている大部分の小型プレジャーボートは軽量で、高速性能を付加するために滑走型を採用しているのである。
滑走型と排水型ではその形状は対極に位置する。
水中容積が小さく(浅喫水)相対的に上部構造の大きな滑走型のプレジャーボートは、構造上からいって軽快に走り回るるのが得意なボートで、潮と一緒に穏やかにドリフト(漂駐)したいというのはもともと無理な要求ではないのだろうか?

試乗艇を海面に降ろす時に見た、滑走艇としてはかなり特殊な船底形状を目の当たりにしているだけに、疑問と期待が頭の中を渦巻いていた。
一体どんな走りを見せてくれるのだろうか…、何はともあれ。
早速テスト走行してみることにした。

取材当日は北の風がやや強く、試乗海面の根岸湾沖は、ちょっと嫌そうなチョッピーな波が立っていた。
おまけに昨夜来の北風が作ったうねりがあり、試乗にはお誂え向きですが、速度や燃費測定にはあまり快適とは思えない環境設定だ。
横浜ベイサイドマリーナの桟橋を離れ、水路を左舷から風を受け低速で航行し始めると、YF-23のWTBと呼ばれる船底形状が、船首の風下への拭き落としを抑えているのが良くわかる。
浅喫水の滑走艇では横風を受けると風上にあて舵を取り、船首が風に落とされるのを防ぐ。
舵を切られた船体は風上に傾斜しながら走る。
乗り心地も悪いし当て舵を切り続けるということは、プロペラの作り出した推進力が船体の軸線に対して角度がつき、推進力の一部を無駄にする。
さらに、傾斜した船体が船底の揚力を減らし、増加した濡れ面積は走行抵抗を増し、燃料消費量を増大させる。
いまのところYF-23の船底形状は今までの滑走艇の弱点をカバーしてくれているように見える。

今回テスト艇として用意されていたのは、80馬力の2機掛と115馬力のシングルというバリエーションだ。
もちろんヤマハ製の4ストロークエンジンだが、80馬力はキャブレータ仕様、115馬力はインジェクション仕様となっていて、その仕様は次の通りである。

【 F80A 】
直4/排気量1569リットル
出力/80馬力(5500回転)
重量/164kg

【 F115A 】
直4/排気量1741リットル
出力/115馬力/5500回転
重量/199.5kg
今回の船速および燃費の測定するにあたり、すこし気になったことがあった。
115馬力シングル艇のエンジン重量が200kgに比べ、80馬力の2機掛はエンジンの重量が334kgもある。
静止状態で比較すると、2機掛仕様の船尾喫水は、当然だが115馬力仕様と比較して70〜80ミリ深い。
走りにその影響は感じなかったが、見た感じは、かなり艫足気味なのである。

試乗海面は北気の風が8〜10m湾奥からの弱いうねりと、時折くる本船の引き波であまり良い条件とは言えない。
計測は、波の影響もあるので最低舵効速力(船外機船なので舵は無い)と思われる 1000回転から最高回転までを500回転刻みでGPS計測。
作成したのが前項のグラフである。GPSは誤差を考慮して平均値を取り、さらに風上航・風下航の平均を記録してある。
計測結果は2艇とも、波と風の影響を受け、最高速度域ではメーカー発表値よりも2ノット近く下回っている。
実測で115馬力仕様はMAX26・1ノット。
80馬力 × 2仕様は、31・9ノットを記録している。

参考までに、風の影響から逃れられなかったが、静穏な海面を捜して80馬力×2仕様で最高速にトライした結果は、34ノット。
メーカー資料より約1ノット速いという結果が得られたことを付け加えておく。
測定条件があまり良くなかったので、グラフは参考程度にしかならないが、実測値4500回転で115馬力仕様は18・6ノット。
80馬力×2仕様は22・0ノットを記録している。
特に走るのに問題はないが、あまり普通のオーナーが船を出したがる気象条件でもなかった。
普通に気軽に船を出したくなる天気でしたら、船速もプラス2ノットは堅いと思われる。

YF-23の燃料タンクは120リットルの容積をもっている。
このタンク一杯の燃料を使ったら、何マイルの距離を走ることができるだろう?
ナンノットの速度で航海したら一番経済的?
いやいやそんなことより一体この船は普通に走って何時間ぐらい走れるんだろう?
ユーザーにとって、この辺りも知りたいことではないだろうか。

しかし、実は燃費ほど測定しにくいデータは無いのである。
エンジン単体を動力計に引っ掛けて、全負荷または部分負荷試験をしてきれいな燃料消費率曲線を書くのは簡単なのであるが…。
以下、参考数値を掲載しておくが、ボートのコンディションによって大きく変動するデータなので、あくまで参考程度にしていただきたい。

        【燃料消費量の計測方法】

今回の取材でYF-23の燃料計測に使用したのは、FUEL MANAGEMENT という名前の計測器。
燃料消費量の測定法はいろいろあるが、基本的には2種類。
燃料配管中を流れる燃料の流量を測定する方法と、燃料タンクの残量を測定する方法である。
今回の燃料計測器は、燃料配管に取りつけたセンサの中を通過した流量をその時点のデータと積算値を同時表示してくれる。
流量計は連続的に表示するので便利、しかし故障の危険もある。
絶対故障しない測定器「検油棒」そう、あのピカピカに磨いた真鍮かチークの棒「ワシこれしか使わん」という方も大勢居る。
デジタルフユエルメータ&センダ燃料バルブに直列に押入したセンダが、流量を信号に変換。
デジタルメータに表示す


【グラフ1 各エンジン回転数における船速 】


【グラフ2 各エンジン回転数における1時間あたりの燃料消費量】

上のグラフの下段(グラフ2)はその回転数で、航行したときに1時間にエンジンが消費する燃料の量を示している。
このグラフの4000回転と4500回転の2種類の船の燃料消費量を読むと

80馬力 × 2仕様は
4000回転で約21リットル/時
4500回転で約28リットル/時

115馬力仕様は
4000回転で約14リットル/時
4500回転で約18リットル/時
                    という結果を読むことができる。

燃料タンクは通常容積の15%は、吸いだせないものとして計算しておいたほうが実態に即している。
従ってYF-23の燃料タンクは120×85% = 102Lとして計算して、航行可能時間は下のようになる。
4000回転 4500回転
F80A×2 5.86時間 3.64時間
F115A 7.29時間 5.67時間

この数値にグラフ1の、各エンジン回転数における船速データを重ねてみると、次のような数値を得ることができます。
4000回転 4500回転
F80A×2 99.03マイル 72.7マイル
F115A 122.9マイル 114.3マイル

実用的な巡航速度での最大航続距離は115馬力仕様では、20kt/4500回転で概ね110マイル。
80馬力2基掛け仕様では25ノット/4500回転で約73マイルとなります。
航海条件によって大きく変動しますが、一応の目安になると思います。


YF-23 SPECIFICATIONS

全長: 7.50m 全幅: 2.55m
全深: 1.40m 総トン数: 5トン未満

定員 10名
航行区域 限定沿海
燃料タンク容量 120L

搭載エンジン 搭載馬力 完成質量
F115AETX 84.6kW(115ps) 1341kg
F100AETX 73.6kW(100ps) 1311kg
F80AETL×2 58.8kW(80ps)×2 1481kg

仕様 価格
F115AETX 300.6万円
F100AETX 315万円
F80AETL×2 400万円



試乗会でのユーザーの声 その1
試乗直後に購入を決めたHさんの場合


YFー23を早々に購入、進水式を待つぱかりという神奈川県藤沢市在住のHさんと巡り合うことができた。
Hさんは2年ほど前に、21フィートの新艇を購入、横浜べイサイドマリーナのBバースに保管してボートフィッシングを楽しんでいたが、同時に、約1年前から次のボート購入のための資金作りを着々と行っていたのである。

そうして次のボート購入を考えていた矢先、釣りがしやすそうなレイアウトの、このYFー23が目に止まったのである。

早速ヤマハのマリンセンター横浜へ立ち寄りカタログ請求を行ったが、正式な発表の前だったので、入手はできなかったらしい。
そして9月に行われた試乗会に出向き、飛び込みで乗ったのが80馬力2基掛けタイプのYFー23。操船はしなかったが、横へ乗っていても、走りの良さに驚いたという。
叩かないし、安心感が全然逢う。
この時点で候補艇の1艇となったのである。

しかしこのボートには問題があった。それは横浜べイサイドマリーナのBバースには、わずか8センチほど長くて入れられないことだった。
その後何日かしてヤマハボートの販売店でもあるコグレマリンサービスの小暮社長と会話を交わすこととなる。
「あのボート、入らないんですよね…」
「バウを切ってあげますよ」
小暮さんのこの言葉で購入を決めてしまったらしい。

Hさんが21フィートに乗っていた時は、行ったとしてもせいぜい観音埼あたりまで。釣りもアンカーを打ってのキスとかアジ釣り。
たまにルアーでシーバスを狙うぐらいだったという。
今度は遠出もできるし、可能な限りの釣りをしてみたいという。
「手始めは松輪瀬でマダイ」だそうだ。


販売店さんの一言
■問/コグレマリンサービスTEL.0462-28-3869

横浜ベイサイドマリーナのBバースに入れるための工事は、バウスプリットの間を12センチ程カットする方法をとりました。
12センチにしたのは計測方法で万が一1センチ大きくてダメというようなことがないよう、予備をとってのこと。
それにバウレールが加工せずにそのまま使えるサイズだからです。
こうすれば前の部分はそのまま使えるし、さらにその部分にアンカーローラーをマウントし、繋ぎ面は凹みを付けて化粧し、工事の跡が残らないように仕上げてあります。
工事は1週間もあれば十分です。




試乗会でのユーザーの声 その2
試乗艇:YF-23/F80×2
Iさん(40歳)
和泉市在住 会社員


大阪岬マリーナにSRV23/F100(スパンカー付き)を所有。
6年前に折り畳みのカートップ艇を購入して以来、SRV20SS、SRV23と乗り継いで、家族や友人とボートフィッシングを楽しんでます。
大阪湾で釣りを楽しむならこのサイズで充分なんですが、これまでSRVでは釣りは3人が限界と思っていましたが、同じ23ftでもウォークアラウンドでスターンデッキがフラットで広いYFなら、6人はいけるんじゃないでしょうか。
カディ内のスペースも広いようですが、マリントイレを装備した場合はどうなのか気になるところですね。
スピードもF100搭載のSRVが平水で27ノットであったのに対して、そこそこ風の強い条件下でF80×2基掛けのYFは4500回転で30ノット強。
体感スピードは確かにあるんですが、ピッチングは少なく、波を切る感じも軽快でしたしね。
値段もずいぷん安くなって、80馬力が2基掛けでもこの値段。
ボートフィッシング主体の私にしてみれば、買い換え候補の筆頭ですね。


試乗会でのユーザーの声 その3
試乗艇:YF−23/F115
Eさん(41歳)/ご主人(46歳)
東大阪市在住 主婦


つい先日免許講習を終えたばかりで、現在は免許の交付待ちの状態ですね。
家族でアウトドアライフを楽しんでいましたが、子供たちも大きくなったので、主人とふたりで今度はマリンライフを楽しもうと思って。
高回転でスムーズな4ストのF115はいいですね、アイドリンク時も静かで。
沖で停泊したとき、今日は風もある方だったのに、横流れしないのはウェーブ・スラスター・ブレードの効果でしたよね? 本当に不思議(笑)な感じで。
揺れもほとんどなかったので、これなら船酔いしないんじゃないかって。(奥様談)


試乗会でのユーザーの声 その3
試乗艇:YF−23/F115
Yさん(61歳)/
奥様/(60歳)
泉佐野市在住 無職



防波堤からの釣りは勤めている頃からよくしていたんですが、やはりマイボートでの釣りは憧れでしたね。
定年退職後の時間を利用して免許は手に入れたんですが、マイボートはまだ。
Y-23は釣りで使うにはいいフネですね。
フルフラットのスターンデッキは広くて家族で使うのにもいい。
走りも軽快なので、パッセンジャー用としてオプションのデッキベンチシートかコーナーベンチシートは装備したいですね。
価格も国産乗用車と同じ程度なので、夢のマイボートが一歩現実に近づいたと感じました。(ご主人談〉


試乗会でのユーザーの声 その3
試乗艇:YF−23/F115
Hさん(49歳)/奥様(46歳)
和泉市在住 会社員

2年前に免許を取ってからはレンタルボートクラブで3ケ月に1度はSRV20で海に出て、クルージンクや釣りなどを楽しんでいます。
今日は家内と一緒にきたんですが、「水が恐い」と嫌がる家内もスムーズなYF-23の走りには満足した様子でした。
大人が横になって休める広いカディ内の収納スペースなども気に入ったようで、「今日でくフネに対しての〉感覚が変わった」と言うほどで(笑)。
実際、風に流されないし、静かな4ストローク船外機もその快適さを引き立ててますし。
価格も思ったほど高くないし、家族でのマリンライフがぐっと近づいた気がしましたよ。(ご主人談)



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