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![]() 蘇れSTR−18CR レストア艇として沼津マリーナから提供を受けたのは、幸運にもヤマハの初代量産艇として記念すべきモデルでもあるSTR-18。 デビューは1962年。 実に40年前のボートでクラシックボートと言っても過言ではないボートだ。 当然に老朽化も激しい。 どんな困難が待ち受けているかもわからない。 しかし日本ボート史に名を残すこのボートをなんとかして蘇らせたいのだ。 数カ月、いや数年かかっても走らせたい。 実際に自分達の手でレストアして、できるだけお金をかけずにだ。 はたして初代STRの40年前の走りはどんなものなのだろうか、ぜひとも体験してみたいものだ。 レストア(restore)とは、その構造物を元の状態に修復するということ。 リペイアー(repair)は、どちらかというと傷んだ部分の修繕、修理というニュアンスで、メンテナンス(maintenance)は、整備や維持、保全といった意味がある。 長い間ボートに乗っていると、十分な整備をしていても、いろんなところに年数経過による劣化や傷みが自然とでてくる。 全体的にボートの状態をチェックし、可能な限り元の状態に修復することで、新艇当時の輝きを取り戻していく作業が一般的なレストアなのだ。 といってもこのボートばかりは暫く浮かんだこともなく、外見上分かる部分は別として、内部はどんな状態かも現段階では不明。 リビルドのような大掛かりなレストレーションとなる可能性もなくはないし廃船にしなくてはならない場合だってある。 現段階で分かっている外見上の問題個所 ●船底、それもエンジン真下あたりに長さ30cmほどのクラックがある。クラックの周囲に擦傷などが無いことから、座礁でないことは明らかだが原因は不明。 どんな修復が必要かはまだ分からない。 一般的に強度的に問題のない場合は、クラック部をグラインダーで削り落としファイバー積層を行う。 ●ハードトップ上に登った時にバリバリという不吉な音が発生。 部分的に内部の木材が腐っている可能性がある。 ●デッキ排水ではないためコックピット床面が腐朽している可能性がある。 これは床面を剥がしてみなければ分からない。 ●船尾寄りの張り出しチャインはガンネル幅と同等かそれ以上に飛び出しているため、この付近は両舷側ともゲルコート面が剥がれ、中のFRPが剥き出しになっている。 水分が浸透していないかチェックしてから埋めなくてはならない。 ●他にもゲルコート面にはキズや穴があり、劣化のため手で触ると手が真っ白になるようような状態。 ゲルコート表面の研摩だけで済むかどうかは不明。 ●ビス類が塩により固着しており、取りはずしに相当な困難が予想される。 ●キャビン内は比較的きれいに見えるが壁面や天井に小さなカビの発生がある。 一部化粧材と木材の剥離個所もある。 ●最後に航行したのが5〜6年前、始動確認は1〜2年前とのことだが、エンジン、ドライブともに見た目の程度は良いものの、状態が全く不明。 それにエンジンルーム床面にはかなりのオイル汚れが確認できる。
作業場所の確保や材料の調達といった準備、まずそこから始めよう。 自分で作業を進めていく場合は計画書を作ってみることをお勧めしたい。 調達しなければいけない材料の入手先や必要な量を調べて確認したり、延べの作業時間などを計算しておけば効率的に作業ができるはず。 まずレストアするにあたって考えなければいけないのが、レストアする場所の確保。 上架しての作業になるので、海上係留保管している場合はさらに手間が増える。 保管しているマリーナにメンテナンスヤードや作業スペースを確保している場合はそういった場所を使えるが、そうでない場合は、どこかに作業スペースを使わせてくれる場所を探さなくてはいけない。 そういった時には施設使用料などの費用がかかってくるケースが多いので、結構、場所探しが大変なのだ。 船底塗装やクリーニングだけなら数日で終了するが、レストアとなるとそれなりに作業時間がかかってくる。 作業によっては、施設使用料もかなりの金額になってしまう。 小さなボートなら近くの空き地にでも…と考えそうだが、いたずらや安全面、粉塵、水や電気が使えるかどうかという話にもなる。 レストアはまずこの場所のメドが立ってからにしたい。 場所のメドが立ったら、できるだけ、レストア作業計画書を作るようにしたい。 決して行き当たりばったりで作業をスタートさせないことだ。 後で必要な材料が不足していて慌てて注文したり、効率的な作業ができないばかりか無駄なコストがかさんでしまうことになる。 材料、工具の調達リストや期間なども含めたレストア計画を立てたいものだ。
■工具類 FRPの補修ということでいえば、それ程大掛かりな道具類は必要無い。 一応以下のような工具が揃っていれば、一通りの作業はできる。 サンダ−やドリルは電気の使用可否で充電タイプを選ぶかどうか判断。 スカーフ用/電動ドリル、サンダ− ガラス裁断用/ハサミ、ナイフ 樹脂調合用/容器、計量器、撹拌棒 積層用/刷毛類、脱泡ローラー、へら 仕上用/刷毛類、ローラー、ヘラ、ポリッシャークロス、 ■材料 ◎ガラス繊維基材 FRP(Fiberglass Reinforced Plastic)はガラス繊維で強化されたプラスチックのこと。 英国では通常 Glassfiber と表現するので、FRPではなくGRPと表記されることが多いが全く同義語。 通常、FRP用のガラス基材として使われるのは溶融ガラスから製造される長繊維で、「マット」と呼ばれるランダムなガラス短繊維をのり(binder)で固めた形状の「チョップトストランド・マット」、ロービングワインダーを通し、ロービング織機で織られた「ロービングクロス」、巻き返し機でヤーンにした物を織ったの「ガラスクロス」、ロービングクロスと比べると繊維目が細かい。 その他、ガラス繊維入りのパテに使われるミルドファイバー、ガラス繊維の他にFRP基材として、カーボンやケブラー、ボロン繊維もあるが、通常はほとんどがガラス繊維を使っている。 ◎樹脂(レジン) プラスチックのことで、ガラス繊維を固めるマトリックス。 一般的には熱硬化性の不飽和ポリエステル系の樹脂が使用される。 これらのポリエステル樹脂は2液型樹脂と呼ばれ、単に触媒(硬化剤)だけを混入して化学反応で硬化させるタイプ。 ◎硬化剤 一般的にポリエステル樹脂の硬化剤として使われるのは「パーメック」と呼ばれるもの。 条件によっては発火爆発したりする、極めて危険なもの。 取扱いには十分な注意を要する。 使用量は樹脂に対して数%と僅か。 購入する場合は必要に応じて、できるだけ少量のものを選ぶようにしたい。 ◎ゲルコート、顔料 表面用樹脂のひとつだが、ポリエステル樹脂をベースに顔料や増量剤が入ったもの。 ボートの表面はこのゲルコート仕上げが一般的。 顔料は微妙なゲルコートの色調整用。 ◎アセトン ポリエステル樹脂の溶剤。ローラーの洗浄や樹脂で汚れた部分の拭き取り用。 可燃性なので、火気厳禁。 ◎コンパウンド ゲルコートの表面磨きに使用する研磨剤。 できるだけ微粒タイプを用意する。 ◎耐水サンディングペーパー、ウエス 「水ペーパー」と呼ばれる研摩力の高いサンディングペーパー。 樹脂が硬化した後の研摩などに使う。 #400から#1000位までのものを用意する。 またウエス(ボロ布)は多めに用意しておきたい。
木材が腐るのは、木材腐朽菌といわれるキノコの仲間が、木材を養分として寄生するからといわれている。 そしてこの菌が生育するには、「空気」「適当な温度」「水分」が必要で、これらのうちどれか一つの条件でも欠けば菌が生育できず、木材は腐らない。 養分である木材を利用できなくするには、防腐剤による処理の他に、現実的に対応ができるのは水の排除だ。 したがって、キャビンなど内部で常に湿気が多い状態だと木の部分が腐り易くなるということだ。 ニスなどの塗装によって空気を遮断することで、ある程度は防げるのかも知れないが、裏側まで塗装してあるかどうかは剥がしてみないと分からない。 もし補修するなら、そういった見えない部分には浸透性の防腐塗料などを塗っておいた方がいい。 また木部の腐朽度合いは、木材の樹種、防腐処理の方法、処理薬剤の種類、使用環境等によって腐朽の進行度合いは大きく異なってくる。 ボートで頻繁に使用されているチーク材は木材自体が持っている成分によって、耐久性、耐朽性、耐虫害性ともに極めて優れているといわれている。 だからデッキなどの塗装しない部分の木材として、多用されているのだ。 こうしたかなり年数の経ったボートをレストアする場合には、しっかり木部の腐朽度をチェックすべきものなのだ。 特に水分が乾燥しにくい接合部や、水がたまり易い部分は腐り易いので入念なチェックが必要となる。
レストアするボートの船検が切れてる場合は、再度船検を受けなくては実際にボートを走らせることはできない。 また船検が残存していたとしても、以下のような改造、修理、取替えなどを行う時には臨時検査を受けなければならない。 ●船の長さ、幅又は深さを変更する改造 ●船体の強度、水密性、防火性に影響する改 造又は修理 ●かじ、操舵装置の改造 ●主機の取替え(ただし船舶検査手帳に指定されている船外機等と取替える場合は不要) ●機関の主要部(クランク軸、プロペラ軸など)の取替え ●法定備品の取替え等(ただし予備検査または検定に合格した備品と取替える場合は、膨張式救命いかだ等を除き、不要) ●復元性に著しい影響を及ぼすおそれのある改造又は修理 ●海難や火災などで、船体、主機、プロペラ軸など主要部に重大な損傷を受けた時 それ以外にも、 ●船舶の用途、航行区域、最大とう載人員、その他の航行上の条件を変更する時 ●船舶検査手帳に指定された臨時検査の時期がきた時 今回レストアするボートはすでに船検が切れており、定期検査を受検することとなる。 ただレストアに合わせて船外機を新しいより高馬力のエンジンに積み換えたり、後から船底貫通式のイケスを取り付けたりする場合は、事前に確認しておいた方がいいだろう。 特に船底貫通型のイケスは、ボートの水密性や復元力にも大きく影響するため、検査基準が厳しく決められている。 船底に穴を開けるような作業は安易に考えないことだ。 当然、該当する事項があったにもかかわらず臨時検査を受けていない場合は違法となり、厳しく罰せられるので注意したい。 ボート提供/沼津マリーナ TEL: 055−939−0421 作業・保管場所協力/リバーポートマリーナ TEL: 046−322−1173
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