前のページに戻る



2006年 7月 17日
ボート月刊誌より
海上係留の係船対策

ボートを係留するということは、ロープで船を繋いで流れないようにすることだけではありません。
乗り降りする際にも支障がなく、船体を傷めずに、かつ安全に係留することが求められる。
係留しようとする桟橋の違いによってどう係留するのかを説明します。

海上係留にもいろんな形態が、基本は、まず確実にボートを舫うこと

浮き桟橋に係留 固定桟橋や岸壁に係留
係留バースのあるマリーナでは、浮き桟橋に係留するのが一般的。潮の干満に合わせて桟橋自体が浮き沈みするので、係船時の舫いが安心。
民間では許可を得た広い水面を確保するのが難しく、なかなか開発できなかったが、第3セクターによるマリーナでは、この海上係留を中心に保管施設が主流になっている。

一般的なマリーナでは一時係留を除いて、固定桟橋に係留保管する施設はほとんどない。
ただ既成港湾や漁港を利用したボートパークやフィッシャリーナなどでは、固定桟橋や岸壁から舫いを取って係留するケースも多い。
潮の干満を考えて舫いを取らないとトラブルの元になる。
基本的には縦着けが多いようだ。

杭係留 係船ブイ係留
簡易係留施設では、係留杭がボートの係留スペースを区切るように打ってある場合も多く、この係留杭にボートを舫って保管する施設もある。比較的使い勝手も良いため、プレジャーボートを対象としたボートパークなどの簡易係留施設では、この杭係留を整備しているところが多い。
岸近くが浅く、干満の差によってボートの係留保管に影響がある場所では、比較的水深のある場所に係船ブイを打って、そこに係留保管する場合もある。
岸から完全に離れているために、舫いロープをいたずらで切られたり盗難などのセキュリティではメリットもあるが、乗り降りはテンダーで渡る必要がある。


■浮き桟橋の係船ロープの取り方
浮き桟橋にボートを固定する場合は、干満の差の合わせて桟橋自体も上下するため、基本的にはバウとスターンのラインでボートを固定することも可能です[イラストB参照]。
その場合、ラインに余裕を持たせる必要もなく、逆に余裕を持たせ過ぎるとボートが振れてしまいます。


CHECK POINT
ロープの長さは、船尾のロープの1に対して船首のロープを5の割合にするのが理想といわれています。
ボートが小波で自由に揺れる程度の余裕をみればいいでしょう。

ただ係留したまま保管するわけですから、当然ボートをより安定して係留させるためにスプリングラインを取ります。
特に何らかの理由でロープを長くした場合、その分ボートが風潮流などの影響で、前後に振られてしまいます。
その動きを止めるのがスプリングラインです。
時々間違ったスプリングラインの取り方をしたボートを見かけますが、これは予備の舫いではありません。
しっかりとした役割があるのです。
せっかくバウやスターンのラインを調節して舫ったのに、スプリングラインがアバウトでは意味がありません。

CHECK POINT
固定桟橋、浮き桟橋にかかわらず船体を桟橋に平行に保つために取っておくのがスプリングライン。
スプリングラインの取り方には、クリートの数や位置によって、W型[イラスト-C]とM型[イラスト-D]がありますが、いずれも舫った後にボートの振れを確認しておきます。

桟橋などの状況にもよりますが、理想的にはスプリングラインの長さは、スターンラインとアフタースプリングあるいはバウラインとフォアスプリングはそれぞれ長さを同じにすることです。


■固定桟橋の係船ロープの取り方
しっかりとしたマリーナなどでは、一時係留を除いて、固定桟橋にボートを係留保管するということはあまりありません。
しかしボートパークのような簡易係留施設やフィッシャリーナなどでは、現状の岸壁を利用したりするケースが多く、場所によっては固定桟橋や岸壁係留ということも考えられます。
その場合は基本的に縦着けが多くなると思いますが、それは後で説明するとして、まず固定桟橋や岸壁に横着けで係留保管する場合のことです[イラスト-A]。
これはクルージング先の漁港などの岸壁で一時係留する場合でも同じことなので、マスターしておいてください。

CHECK POINT
固定桟橋など、干満の差がある場所では干満の差を考慮してロープの長さを決めます。(係留設備までの距離が5メートル以上の時、一般的にはその1割を加えた長さとするが、潮の干満が大きなところではさらに余裕を持たせなければいけない。
また干満に対する余裕をみるあまり、ロープが長すぎると岸壁に対するボートの姿勢が崩れてフェンダーが効かなくなったり、逆に短いと干潮時にボートが吊られてロープが切れたり、クリートが取れたりして船体を傷めることがあります。
周りのボートをいろいろチェックしてみるのもひとつの方法。


■岸壁に縦着け係留する場合
専用ポンツーンを除いて、桟橋や岸壁に係留保管する場合にはできる限り多くの船が利用できるように配慮しなければなりません。
このような場合には縦着けといわれる、船を岸壁に対して直角に着ける方法がとられます。
最近整備が進められている簡易係留施設などでは、このように既存の岸壁などを利用して縦着け係留する施設も多く見受けられます。

CHECK POINT

後方に固定ブイが左右に打ち込んであれば、船尾両舷はそれにラインを結びます。
船首も左右に分けて振れを止めます。
船尾のラインは、干潮時にバウが岸壁に当たらないように調節[イラスト-E]。
後方に固定ブイがひとつの場合は、船尾は左右からラインを取ります。
左右の振れが心配な時は、さらに船尾から岸壁にラインを取ります[イラスト-F]。
後方に錨を打つ場合もありますが、ボートの係留保管場所では一般的ではありません。
もしそういった時には、船尾のアンカーロープの中間に重り(アンカーモニター)などを着けておくと、錨の利きも確かに良くなり、船体は常に後方にテンションがかかっていることから潮の干満や風などによって船首が岸壁に接触しません[イラスト-G]。
ただ後進のコントロールが巧くできないビギナーは、練習で慣れるまで船尾からの縦着け係留は避けるべきでしょう。


■杭に係留する場合

 最近の簡易係留施設などでは、係留スペースに杭などを立ててそこに舫いを取って係留するところも見受けられます。
しかし杭はあくまでも、ラインを結ぶための係船具でしかありません。
岸壁やしっかりとしたポンツーンの代用ではないので、ボートを安全に固定するということでは、杭に頼り過ぎる係船はしないことです。

CHECK POINT
A干満のある水面では、結び方はそれに合わせて上下方向にロープが自由に動く結び方(もやい結びなど)にする[イラスト-H、I]方法もあります。
ただし潮の干満によって杭から抜けてしまうことも考えられるので、何か安全策を考えておく必要があります。
また、杭の表面に貝殻や表皮が着いていて滑りにくくなっている場合は、ロープが傷んで切断の原因になるので、できるだけ避けなければなりません。

スプリングラインを取る場合は、杭に結んだ輪からラインを取り、杭を上下するラインが少ないほど、ロープが絡まるトラブルの危険性は減ります[イラスト-I]。

岸壁のリングやビットなどの係船具が余裕をもって利用できる場合は、[イラスト-F ]などのように、しっかりと岸壁から舫いを取ること。
また、杭が船尾後方の左右にある係船施設の場合には、[イラスト-E ]の固定ブイと同じように、両舷からスターンラインを取って振れを止めるようにラインを取ります。


前のページに戻る