前のページに戻る



2006年 7月 17日
ボート月刊誌より
本気で考えるボートの保管対策
上架保管か、係留保管か?

ボートを完全確実に維持・管理するということはボートオーナーにとって非常に大切なテーマのひとつ。
なのにその「保管対策」にそれほど感心を持っていない人が多いようだ。
ロケーションやアクセス、また保管料といったことだけで保管場所を決めてしまい、それらしい対策を行っていないようでは問題だ。
特に最近海上係留による保管施設が増えてきている。
保管対策をおろそかにそているとボートに大きなダメージを与えるだけでなく、愛艇を失い兼ねないのだ。
一度本気で「保管対策」を考えてみたい。

◆海上係留保管か陸上保管か?
ボートを保管するには、陸上に保管する場合と海上(水上)に係留する方法があります。

海上係留保管
陸上(上架)保管
出航のたびにボートをクレーンで吊ったりスロープで揚げ降ろしをする必要もなく、入出港がスムーズに行えるのが海上係留の大きなメリット。
しかもボートを上げ降ろしするのに必要な上下架料も必要ないし、混雑時の上下架待ちという煩わしさもない。
係留場所によっては、出入航の時間も自由に行える。
海上係留保管と比べて陸上保管は、海水面から隔離されているために、電蝕の問題や干満の影響を考えたり、フジツボの付着や油などの付着による汚れなどに関して、それほど心配する必要がない。
また、常にボトムやドライブ周りをチェックできるので、何かあればすぐに対処できるなど、メンテナンスが容易。

確かにここ最近では、海上係留もしくは水面係留といった係留型の保管施設が日本でも増えてきました。
ポンツーンに電気や水道などを供給するパワーポストを備えた近代的な施設を持つ大型マリーナが次々とオープンし、また一方では放置艇問題の解決策として、有休化している水面を有効に活用するボートパーク(簡易係留施設)やフィッシャリーナ、河川マリーナなどの整備も進んできています。

本来こういった係留保管は、欧米ではごく一般的な保管方法なのですが、日本では特殊な事情によって民間のマリーナの多くでは、上架する陸上保管が中心になっていました。
確かに係留保管に比べて、メンテナンスやセキュリティということでは陸上保管の良さもあるのですが、入出港時の利便性ということでは、やはり海上係留の方が勝手がいいものです。

しかしボートを買ったばかりのビギナーオーナーが、ちょっと不安に思ったり、良く分からないことがあるというのも、この係留保管です。
ちょっと風の強い時や雨が降ってる時には、ボートが心配になって夜も寝られないというビギナーの気持ちもよくわかります。
水面に浮かんでいるだけに、何かトラブルがあればボートが沈んだり流されてしまうのではと、あれこれ考えてしまうからでしょう。

確かに陸上保管と違って、いろいろと気を配らなければいけないという煩わしさもありますが、ポイントさえしっかり理解して適切な処置や対応さえしていれば、係留保管は思っているほど大変なことではありません。
今回は、そういった係留保管のベーシックなポイント(ボートや係留場所によって異なる場合もあるが)を、チェックしていきます。
これはいってみればボートを操船するのと同じように、ビギナーにとっては完全にマスターしなければいけないボーティングの基本です。

ボートを保管する時、まず最初に考えなければいけないのが、係留保管か陸上保管かです。
それによってボートの維持・管理の仕方に大きな違いがあり、後々悔やんだりするケースも出てきます。
ただどちらが良いかというと、それぞれにメリットやデメリットがあり、それを理解した上で、自分がどっちを選択した方が良いかを判断するべきでしょう。
置場不足だった以前と違って、ボートを置ければどこでも良いという時代ではなく、より適した場所を選べる時代なのです。
じっくり考えたいものです。

海上係留保管のメリットとデメリット 陸上保管のメリットとデメリット
●出航のたびにボートをクレーンで吊ったりスロープで揚げ降ろしをする必要もなく、入出港がスムーズに行える。

●ボートを上げ降ろしするのに必要な上下架料も必要ないし、混雑時の上下架待ちという煩わしさもない。
●陸上保管は、海水面から隔離されているために、電蝕の問題や干満の影響を考えたり、フジツボの付着や油などの付着による汚れなどに関して、それほど心配する必要がない。

●常にボトムやドライブ周りをチェックできるので、何かあればすぐに対処できるなど、メンテナンスしやすい。

●台風などの災害時も比較的安心。

●藻類やフジツボなどの付着によるボトムのメンテナンスには、最低でも年間に2回ぐらいは上架して清掃・点検などをするなど、メンテナンスに気を配る必要がある。また電食の問題もある。

●保管場所によっては、災害時や風水害の影響を受ける可能性のある時は、それなりの対策が必要になり、そのための費用が必要になってくる。
●保管場所によって船台購入や揚げ降ろしのたびに上下架料金が必要になるなど、コスト的な負担がでてくる。

●保管場所によっては、入出航に時間的な制限があったり、混雑時には上下架の順番待ちという問題もある。


◆保管形態によって異なる保管対策
係留か陸上か、どちらに保管するのかで対策が違ってくる。
対策といえば大げさかも知れないが、実は良くわかっていない人が多い。
免許教室でもほとんど教えてはくれないのだ。安易に考えると大きなトラブルに陥ってしまう。

陸上にボートを保管する場合の具体的な対策は基本的に右の4つに区別できます。
まず考えなければいけないのが、船体の汚れに対する対処。

船底に関しては、海上係留と違って水洗い程度のメンテナンスで問題はないのですが、デッキやコックピットには車の排気などによる汚れや砂ボコリによって、場所によってはかなり汚れてしまうこともあります。
ザッと水で洗い流すだけではなく、定期的にクリーニングするなどの処置が必要です。
詳しくは今後の連載の中で解説していきますが、この汚れが結構やっかいなのです。

また、いくら陸上といっても夜間に無人になる保管場所などでは、セキュリティ対策も十分考えておきたいもの。
これは海上でも陸上でもあまり関係ない問題です。
最近はボートの備品などを持っていくボート泥棒が増えているようです。
自分自身の責任なのだから対策は講じておきたいものです。
また、台風などの悪天候時や災害時にも陸上保管だからといって気を緩めないこと。
それなりの対策は必要です。
また 船体のクリーニングやメンテナンスは海上係留保管に比べれば確かに手間は少なくて済むかも知れません。
だからこそ十分に対策を考えておきたいものです。


海上係留保管は、陸上保管に比べて遥かに手間がかかります。
ボートを水の上浮かべて保管するのですから当たり前のことです。
まず船底を付着生物(フジツボや海草など)から守らなければいけません。
エンジンがスターンドライブやダイレクトドライブなら、電蝕の問題からも守らなければいけません。
また水上には油やいろんな汚れが浮かんでいてそれがハルに付着して船体が汚れるなど、船底を保護するためにやらなければいけないことが山ほどあります。

もちろん陸上保管と同じように浮んでいる船体にだって汚れ対策が必要。
むしろ陸上以上に気を配る必要があります。
保管場所によっては、鳥のフン害だってあるのですから…。

また、浮かんでいるということは、トラブルが発生したらボートが沈んでしまう可能性もあるということです。
かつて大雨の時に舫いロープが切れて、そのままボートが流れた事故もありましたし、流れてきた大きな流木がハルにゴツゴツ当たって亀裂が入ったという知人の話もありました。

稀なことかも知れませんが、枯れ葉や飛んできたビニールなどがデッキの排水口をつまらせ、エンジンルームが水浸しというケースも考えられないことではないのです。
どういったトラブルが起きるかを想定して、十分に対策を考えていた方が賢明でしょう。

さらにメンテナンスも水の上に浮かべたまま行えることもあれば、上架して陸上で行わなければいけないメンテナンスもあります。
定期的に上架して船底などのメンテナンスを行わないと、ボートの性能が低下するだけでなく、非常に痛い思いをすることになるでしょう。
このように係留保管と陸上保管によって、ボートを維持・管理する保管対策は異なってきます。
詳しくは今後の連載で一つ一つ取り上げていきます。


前のページに戻る