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                             船体のクリーニング
     2006年 8月 9日
ボート月刊誌より
この情報は2005年11月、ボート月刊誌に掲載された記事です。

どんな分野でも、やはりプロの手際というのは鮮やかなもの。
同じことを何度やってもその結果が相当違ってきたりする。
今回はボートクリーニングのプロの作業を追いながら、それぞれの作業や手順やコツを伝授。

■船体のクリーニング
[1]とにかく徹底する
クリーニングの基本的な作業は、水と洗剤でフネを洗い、レイル類などの金属部を磨き、キャビン内を清掃する、というだけ。
洗剤もプロが使うようなものでも、比較的簡単に入手できるようになってきた。
まず必要な道具や用品を揃えて、効率良く作業する段取りを組むことからはじめたい。

[2]段取りと手順が肝心
清掃を始める前に、船体のどこから手をつけるのが適当か、どういう手順で作業をすすめるかなどをあらかじめ考えておかないと、無駄な動きが多くなる。
もちろん、清掃を一緒にやってくれる仲間が多ければ、一気に作業に取り掛かってもそれほど問題はないが、そうそう誰もが大人数で清掃にかかれる環境ではないだろう。
例えば、先にハルを清掃し、その後デッキハウスなどの上部構造を洗ったとしたら、せっかく洗った艇体に上部構造を洗った後の汚れが付いたりする可能性がある。
ほとんどの場合は水洗が前提で、基本的には上部から始め、徐々に下の方を洗うというのが合理的だ。
またボートを船台に置いた場合には、船首と船尾のどちらが下がっているかを確認したい(船尾側が下がっているのが一般的)。
この場合も、汚れた水が再び集まらないように高い側から洗うというのが合理的だ。
 
[3]服は汚れるもの
動きやすく、洗剤やワックスが付いても良い服装、汚水の溜まった船内床に膝をつくことのできる服装、水がかかっても良い服装、というのは思い切って清掃をする際、絶対に必要。
作業用のオーバーオールなどにゴム手袋と長靴、というあたりがベストだ。

[4]陸沈に注意
陸沈(オカチン)というのは、要するに陸上でフネを沈没させる、という意味。
コックピットなどはセルフベイリング(self bailing=自動排水)のため、清掃に使った水はベイラー(bailer=排水口)から出ていくが、洗う場所によっては、その水がビルジ(bilge=この場合は床下の船底部)に落ちるケースがある。

ボートを陸上保管している場合、ビルジに水を溜めて陸沈しないよう、ドレンコックは必ず外すこと。

ドレンの無いフネはビルジポンプを使う

水がかかると困る部分については、ビニールシートなどを使ってカバーしておく。

おっかなびっくり洗うより、こうやってカバーしておいた方が安心

水洗ホースの先端には、手元で水を止めたり出したりできるタイプのノズルを付けておくと無駄がない。

またノズル先端を調整することで、スプレーにも、直線的にも出せるタイプが便利だ。



そうなった水、をなんらかの方法で排出しないと、どんどん溜まってしまい、水で溢れてしまう。
そういう状態を、フネが沈んで「水船」になってしまうことに例えて「陸沈」と呼ぶ。
ボートオーナーとしては、けっこう恥ずかしいことだが、現実としてそういうことが起きると、バッテリーやエンジンが冠水したりするケースが出てきて、フネにとってはかなり具合が悪いことになってしまう。
トランサム最下部のドレインを陸置きの時は外しておきたい。
また似たような理由で、船底貫通型イケスのスカッパーを開いておくのも忘れずに。
なお、ビルジの排水のためにはオートビルジポンプなどもONにしておいた方が良いだろう。

普段はデッキブラシを使ってフネを洗う方が多いかもしれないが、細かいところを洗うとなると、結局スポンジを手に、直接洗うということになるだろう

さらに細かいところは、ご覧のように歯ブラシが便利

[5]ひと手間かけてカバーする
洗剤と水で汚れを落とすというのが基本だが、場所によってはあまり水をかけたくない部分もある。
注意しなければならないのは、やはり電装系だ。
特に航法機器などはある程度の防滴処理が施されているが、水に対してそれほど強いわけではない。
フロントパネルは大丈夫でも、裏側に放熱口があったり配線があったりするので、その配慮も必要だ。
そういった部分には水がかからないように、あらかじめビニールシートを使ってカバーするなどしておくと安心だ。
スイッチ類を防水タイプにしているボートは少ないが、裏側の接点周りや本体そのものが防水になっていないというケースは少なくない。
当然、そういったスイッチ周りに水が入らないよう、カバーしておいた方がいい。

[6]船体は区切って考える
ボートの大きさにもよるのだろうが、ボート全体に一気に水をかけ、一気に洗剤で洗い、船首から船尾までのレイル類を一気に磨きだし......、という方法より、フォアデッキならフォアデッキをひと通り洗い、その最中にフォアデッキ周りのレイル類や金物を磨きだし、さらに細かいところ、たとえばノンスリップパターンの目の汚れや、ハッチ周りの溝の汚れなどもチェックし、フォアデッキ全体を洗い流して後はワックスがけ、というような状態にしてから次の場所、たとえばデッキ周りなどへ移動していく。
よほど小さいボートなら別だが、そうでないと人間は船上をやたら動きまわることになり、清掃道具や洗剤もあちらこちらへ持っていかなければならない。
それは、やはり効率が悪い。
むしろ、道具や洗剤も一カ所に置いておけて、部分的に集中して清掃していく方法がいいだろう。

[7]ワックスは表面の様子に合わせて
ワックスは非常にたくさんの種類が出回っている。
もちろん、ボート用とされるものがいいわけだが、その中にも、コンパウンド成分が強いものと、皮膜形成能力に重点を置いたものの両方があるので、自分白身のボートの状態に合わせて選ぶようにしたい。

あまりにゲルコート表面の状態が悪いようなら、コンパウンドを使って一度表面をキレイに均し、その上でワックスをかけるといいだろう。
市販のポリッシヤー電気ドリルを利用してバフがけをするのも良い方法だ。
なお、フネのFRP部分磨きやレイル類の錆落としなどに用いるコンパウンドとしては、「極細目」とか「超微粒」を選びたい。
「細目」程度だと、ボート全体をツヤ消し仕上げにしてしまう恐れがある。

[8]見えないところを見る
普通に船上に立っていて見えない部分、たとえば舷縁の裏側などは、清掃時に見落とされがちな部分。
船体全体を普段は見ない角度から見てみる、あるいは、覗き込人だりしないと見えない部分を見てみる、というのも大切だ。
意外なところの意外なパーツに錆が出ていたり、思っても見なかったところに汚れが溜まっていたりすることがある。

[9]結局は日常が大切
プロならばともかく、−般にはそういった大掃除よりも、むしろ日常ボートを使った後の手入れの方が重要であり、ボートをキレイに保つ効果が高いのだ。
とにかく使ったら洗う。
汚れたなら、その汚れをできるだけ早く落とす。
後でまとめてとは考えずに、できるだけその場でキレイにしてしまうというのが、事態を悪化させない第一歩だ。
例えばゲルコートの表面。
付いたばかりの汚れなら、その表面を洗えば済むということも少なくないが、少しでもゲルコートの表面が劣化していたり傷がついていれば、その汚れはゲルコート内部に浸透してしまう。
そうなると、ゲルコートの表面を一皮剥ぐくらいのことをしないと、元には戻らない。
これは、キャビンでも同じ。
カーペットやソファなどにシミを作るかどうかなどは、その典型だ。
とにかく、常日頃からキレイにしておけば、ボートはずっとキレイなままで保たれるのだ。

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