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                             AC電源について
     2006年 8月 28日
記事: ミズノマリン 水野 茂
この情報は2005年10月ボート月刊誌に掲載された情報です。

◆プレジャーボートのAC電源について考える。
誰しも大きな船に憧れを抱く。
今の船で十分と言いつつも、自分を取りまく環境が許すものなら今より大きな船に乗りたいものだ。
学生時代には満足していたワンルームマンションも生活レベルの向上とともにユニットバスでは寛げないとかリビングルームにホームシアターが欲しいとか欲望が高まれば仕事も頑張り頭も使う。

人それぞれ考え方に違いはあるが、筆者が思うにプレジャーボートサイズの節目は排水量で5トン前後、船の長さで30フィートあたりにあると考える。
理論的に説明すれば少々乱暴ではあるが、日本の平均的な波のピッチは8mとされていて、水線長が26.6フィートを下回ると走りにくいといった論法だ。

このサイズにはもう一つの節目がある。
AC発電機の搭載が物理的に可能か否かの境目なのだ。
船の中に居住スペースがある限り、出来るものなら快適に過ごしたい。
バッテリー電源でも多くの電装品は事足りるが、よく冷えるエアコンを搭載するとなるとAC電源が必要だ。
今回はプレジャーボートのAC電源について考えよう。

海上にある船内でAC電源を確保する方法はいくつかある。
どの方法を選ぶかによって確保できる電気の容量が変ってくる。
エアコン、集魚灯、温水器、電子レンジ、テレビ、ポット、バッテリーチャージャーなどが船内で使えるようになれば・・・と夢はひろがる。
AC電源確保にまつわるご相談をボートオーナーから受けるなかで、船内でほしいもの人気NO1はダントツでエアコンだ。
 
厄介なことにエアコンは電気の消費量もNO1である。
別に電気代を心配しているのではなく限られたスペースの中で確保できる電気の容量を心配しているのだ。
この夏「船は暑いからもう乗りたくないわ」と彼女に言われて、これからエアコンの搭載を考えておられるボートオーナーのご参考になれば幸いです。

ACマリン発電機を搭載する
AC電源の王道といえる発電機の搭載は、スペースと予算が許せば一番のお勧めだ。
独立したエンジンでジェネレーターを駆動するため、航行中であろうがメインエンジン停止の係留中であろうが、下架状態であえば安定した電源の供給を受けることが出来る。
 
選択するエアコンの能力によるが、コンプレッサー起動時の消費電力や、暖房時の負荷を考慮するとエアコンのみで2Kwの電力消費を覚悟したい。
マリン用発電機の場合は小型のものでも3.5Kw以上の能力を有しているため、搭載に成功すれば複数のAC電化製品が同時使用可能となる。
 
工事費用の軽減と物理的なスペースの問題を解決するには、ガソリンマリンジェネレーターを搭載する方法がある。
ディーゼルエンジン艇の場合、燃料タンクが2系統になってしまうデメリットはあるが、それ以外は騒音、振動、重量面においても十分なメリットが期待できる。
諸問題から発電機の搭載をあきらめておられたボートオーナーにとっては朗報といえるだろう。

スペースが許せばマリン発電機の搭載をお勧めする


ACポータブル発電機を搭載する
マリンカタログでも紹介が増えた小型で安価なポータブル発電機は、ホームセンターにもずらりと並んでいて手軽に購入できる。
マリン用発電機と比較して価格的な魅力はたっぷりあるが、放熱と換気、排気ガスの船外排出方法から、エンジンルーム内への搭載は若干無理があるようだ。
 
デッキ上への据え置きが一般的な搭載方法となってしまうだろう。
コンパクトが売りのポータブル発電機は燃料タンクの容量が限られているので、燃料補給の煩わしさが否めないのと、スペアー燃料の船内保管方法に注意が必要なデメリットは覚悟しておきたい。
 
絶えず潮風にさらされた環境で使用するのでマリン用発電機と比較した寿命は短い事も考慮しておこう。
防水、防音ボックスの設定がある場合は装備をお勧めします。
 
ポータブル発電機を選択する場合、エアコンを搭載するのであれば2Kw以上の能力を有する発電機をセレクトしよう。使用するAC機器の消費電力より余裕のある発電機をセット
しておかないと結局使えない艤装になってしまうのだ。

主機駆動発電機を搭載する
エンジンのクランクプーリーから動力を取り出して大容量のエキストラDCオルタネーターを駆動し、インバーターでAC電源に変換する方法で、価格的にはマリン発電機とポータブル発電機の中間あたりに位置する。
エンジン機種によりオルタネーターの取り付けブラケットが異なるため施工に費用がかかってしまう事と、主機の動力で発電するため、エンジン停止中は使用出来ない事、低回転時の発電能力が不十分であることがデメリットだ。
独自のエンジンが必要でないため最小限のスペースでAC電源の確保が可能となるのが最大のメリットといえるだろう。

主機駆動発電機はエキストラオルタネーターのセッティング作業に時間を要する


DC→ACインバーターを搭載する
最も安価にAC電源を確保する方法がインバーターの搭載だ。
自船のDCバッテリー電源をAC電源に変換する装置で、他の手段と比較して施工が極めて簡単である。
バッテリーのプラスとマイナスをインバーターに接続するだけでAC100Vのコンセントが使える優れものだ。
しかし能力的に限界があり、DC12Vの場合で1Kw前後の連続使用が限度である。

もしもインバーターでエアコンを運転するのであれば、最小低容量モデルがギリギリ運転出来るか否かの瀬戸際と理解いただきたい。
キャビンの容積や窓の面積にもよるが、十分な冷房効果は期待しないほうがよいでしょう。
 
必ずインバーター専用の大容量バッテリーを追加し、オルタネーターの発電をアイソレーターで分派し、インバーター用バッテリーがあがってしまっても船の運航には支障が出ない配慮が必要だ。
主機駆動型発電機のエキストラオルタネーターが無いバージョンと考えればわかり易いだろう。
エンジン停止状態やスロー回転時のインバーター使用は、短時間でバッテリーが放電してしまうので注意が必要だ。
 
また、インバーターには正弦波と矩形波の出力波形があり、使用する電化製品によっては矩形波では使用出来ない場合もあるので、これも注意が必要だ。

フライホイールジェネレーター搭載のエンジンを選択する
STEYR MOTORSのマリンディーゼルエンジンにはフイライホイールの後部に5Kwの発電機が内臓できる構造になっている。
主機駆動発電機と同じくエンジン運転中しか使用できないが、発電能力の大きさが頼りになる。
今のエンジンが不調で、換装とAC電源の確保を同時にお考えの場合は大きなメリットがあると言えるでしょう。

STEYR MOTORのマリンディーゼルエンジンには世界初のフライホイール
ジェネレーターが搭載できる


使用目的とご予算に合わせたAC電源選びをし、オールシーズンの快適な船遊びをお楽しみください。

*マリンエンジンに関するご質問はミズノマリンHPのBBSまでお寄せください。
プロのマリンメカニックが丁寧にお答えいたします。

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