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 2006年 7月 17日
ボート月刊誌より
船内機・船内外機の点検 その2
ボート月刊誌2002年12月掲載

前回は船内機、船内外機の点検の1)ブイベルトの点検、2)エンジンオイルの点検までお話ししました。
今回は前回お話した、船内機、船内外機の点検の3番目の点からお話ししたいと思います。

3)エンジン各部からのオイル漏れの点検
エンジンはいろいろな形と材質の部品の集合体でしかないわけで、各部品の合わせ目からのオイル漏れや水漏れを防ぐためにガスケットやパッキングを使用しています。
しかしながら、暖機運転をせずに走り出したりするとシリンダー上部が急激に温められるためにエンジンは部分的熱膨張を強いられて、それが繰り返されるうちにそれらの合わせ目からオイルや水が漏れるようになります。
特にシリンダーヘッドとエンジンブロックとの合わせ目からもれるケースが多いのですがほかからの漏れも生じます。

点検時においてはエンジン本体の周りをよく見ることも必要ですが、ビルジの中にオイルが混入していないかをみたり、エンジン本体をウエスで磨き、平素からきれいにしていればそのような漏れにも早く気づくことになります。
また、このような日頃の手入れはエンジンルームからの出火を防ぐ意味からもいろいろな異常を早く発見することにもつながります。

4)燃料系統の点検
どの故障でもそうですが、燃料系統の不調による故障は洋上では処置作業がしにくいことが多いものです。
それでいて洋上で突然発生する燃料系統の故障は極めて少なく、出航前に点検していれば防ぐことができたという事例が多く見受けられます。
たとえば、燃料フィルターの目づまりは通常では急激に詰まるものではなく、長い間に目詰まりが蓄積されますし、燃料ゴムホースの亀裂も徐々に進むものです。

燃料タンクに水がたまっている場合には比較的早く不調現象が現れやすいのですが、燃料キャップをし忘れない限りは急激にフィルターの中に水が溜まることは考えにくく、点検をその都度していれば水が徐々に多くなっていくことに気づくでしょう。
燃料の中に水が入っているとストレーナーのガラスカップの下に水分が溜まってきますからキチンと点検していればこの種のトラブルは防げることです。
 具体的対処の方法はトラブル処置編までお待ち下さい。

●点検項目
 *燃料系統の各バルブの開閉状態
 *燃料管系の緩みや漏れ
 *燃料フィルターの目つまりや水分の混入


5)バッテリーの点検
バッテリーの中にはバッテリー液といわれる希硫酸が入っていますが、この溶液が少なくなると十分な電力が供給されずエンジンがかかりにくくなり、始動する前に電圧が低下してしまいます。
近年ではメンテナンスフリーと称するものが多く市販されていて溶液が少なくなりにくくなっていますが、バッテリーの上に6ヶのキャップがついているものでは溶液が月日の経過とともに少なくなってしまいます。
溶液面が正常であるか否かはバッテリーに必要な液面を示すラインが書かれていますからこれを点検し、少なくなっている場合には蒸留水を上限のラインになるまで補充します。

バッテリーの点検では溶液ばかりではなくバッテリー端子の緩み具合をみるのもそのひとつです。
両極の端子が緩んでいるとスターターが始動しなくなるばかりでなく、充電効率が低下して出かけ先から帰ろうとしてもバッテリーが上がってしまっていることがあります。
また、激しい波浪のためにバッテリーの固定が十分にされていなかったことが原因でバッテリーが移動してターミナルがはずれて充電回路に異常が発生しオルタネーターの故障を招いた例もあります。
したがってバッテリーそのものの取り付け状態も点検項目としてあげられるでしょう。
●点検項目
 *バッテリー液の量
 *ターミナルの取り付け状態
 *バッテリー本体の取り付け状態

6)スターンドライブの点検
スターンドライブはプロペラーを回しながらも左右に向きを変えなければならないためにユニバーサルジョイントがつけられていますが、スターンドライブをチルトアップした状態でエンジンをかけることは、このジョイントに大きな負担を強いることになり悪い影響を与えます。
エンジンを始動する前にはドライブユニットが使用する状態にまで下がっているか否かを確認してエンジンを始動します。

また、下がっている場合であっても一度チルトアップしてから下げなおすことも必要です。
なぜならば、そうすることによって駆動油圧系統からの油漏れを知ることができるからです。もしもチルト油圧系統ばかりではなく、ケーシングから油が漏れていれば水面にオイルが拡散するのですぐにわかります。
●点検項目
 *ドライブのアップダウン作動状態(油漏れの発見)
 *ドライブが正規の状態にまで下がっているか。
 *プロペラー周りにロープや木の枝など流れ物が絡んでいないか。

7)船内機船におけるプロペラー軸系の点検
船内機船の場合にはプロペラーシャフトが船内から水中に貫通していますから、水が入ってこないようにパッキングが施されています。
このパッキングがゆるすぎれば航行中も水が入ってきてエンジンルームにビルジが溜まり過ぎてしまいますし、締め付けすぎていれば水は入ってきませんがやがてパッキングが焼けてしまい、そのときには多量の水が浸入してくることになるでしょう。
最近では大変優れたものが装着されているものもあって、一度調整すればほとんど手をかけずに済む形式のものもありますが、これとてメンテナンスフリーというわけにはいきませんからエンジンを始動する前に目で確認する気持ちは持ちたいものです。


8)ビルジの点検
エンジンルームに溜まるビルジは必ずしも前述の軸系からの浸入ばかりとは限りません。
雨水もあれば航行中に撥ねあげた海水もあります。
船舶では若干のビルジが溜まっていることは当たり前ですが、ボートは走り始めるといったんは船尾が下がりそれから滑走状態になりますから、これらのビルジが溜まっていると水は後方(エンジンルーム)に集まり、エンジンのフライホイールケースにまで達してしまい、ケースの中に入った水はスターター周りの作動に大きな障害を与えます。
また多量の水が溜まっているときには船体の安定性を悪くし安全性を欠くことにもつながります。

そしてこれらの点検を行わずに出航したときに思わぬトラブルが発生するものでこのトラブルがどのようなものであれそのときの天候や地形によっては命にかかわるということをよく認識しておくことが大変重要なことだといえます。


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