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          新水産研究者観察ノート
シロウオ編

2006年7月17日
ボート月刊誌より
このコラムは2003年4月号のボート月刊誌に掲載されたものです。

徐々に浅海域の水温が上がり始める頃、浅場の生物たちも賑わいを見せてきます・・・と良く聞きますが、旦那の河口監視情報によると、川を覗き込んだら水はすっごく透明で、河口の底は丸見えだそうです。
そんな状況なので、何処を見渡しても生物の存在は感じられないとのこと。
この時期、旦那は釣りに行く回数がグッと減ってきます。
家でゴロゴロしていることが多いのを見るとお魚さんはいないのでしょうか。そう思っていたら「魚は居るぞぉ」と旦那の声です。

「躍り食いの季節だけど、人間だけでなくシロウオの接岸を喜ぶ魚はたくさん居るぞ」と言い始めました。
旦那は川漁師さんの所に出向き、漁のお手伝いの真似事をして観察用にシロウオをバケツ一杯ほど頂いて帰ってきました。
それを職場の水槽に入れると、それまでブロックの隙間に隠れていたメバルやカサゴ、寒くてジッとしているメッキが急に眠りから覚めたように穴や物陰から出てきて周りをギョロギョロ見渡し始めたようですよ。

そして、半透明のシロウオを見つけた瞬間、ここ数ヶ月見せたことがないようなスピードで襲いかかりパクパク捕食したとのことでした。
水槽の中でそういう状態と言うことは、深くて水温が安定しているところではもっと激しい捕食合戦が行われているだろうと旦那は言っています。
ただし、大好きな釣りのターゲットであるスズキは水槽の中でシロウオに見向きもしないようなのであんまり嬉しくなさそうでした。
そのへんの要因が、家でゴロゴロする理由なのかな。それともそろそろ始まる花粉症予防かも。

ちまたではシロウオとシラウオは混同されているようです。
迂闊に漢字で「白魚」なんて書いてしまうとどっちがどっちだか分かりません。
表記の仕方だけでもこのように混乱させているのですがパッと見でも「コレがシロウオね!」と言えるだけの正確な見分けが難しいのです。

半透明で透き通った体のため高い場所から川を覗いても発見は不可能です。
でも低い位置で、川の底に白い板を張り付けジッと見ていると群れで寄ってくるのが分かります。
川漁師さんもこのような仕掛けでシロウオの遡上を確認するようですよ。
私たち素人には小さな体、透明な体のためなかなか見つけられないのですが、川漁師さんは遙か遠くのシロウオの群れをすぐに見つけてしまいます。
さすが本職。
透明なものを透明度の高い水の中で見つけるなんてどんな目をしているんでしょうね。

ところがそんな体をしているのはシロウオだけではありません。この時期、海から戻ってくる稚鮎も似たような体なのです。
旦那や川漁師さんは「白っぽいから区別できるよ」と言っていますが私の目にはどちらも同じにしか見えません。
おまけに、写真を撮るのも難しいんです。
ピントが合いにくい透明な体なので私の腕ではなかなかきれいに撮ることができませんし、早く撮影しないと干からびてしまうほどか弱い体をしているので大変です。
皆様方にご紹介させて頂くには、なかなか困ったお魚なんですよ。

それでは、シロウオは川の魚なんでしょうか。
旦那に解説させると「先に遡上してくるオスが下流の石の下に穴を掘って、メスが来るのを待つんだ」「後から群れで遡上してくるメスはパートナーを見つけたら、その巣に産卵して一生を終えるんだぞ」とのことでした。
その後、ふ化したお子さまシロウオは再び海に下っていくんですよ。

同じ時期に遡上する稚鮎は鮎のお子さまなのですが、シロウオは親なんですね。
あんなに小さい体で親なのがビックリ。
私にとってはこの世の七不思議の一つに入れたい気分です。
それでは白魚と素魚の見分け方を詳しく解説してみましょう。

まずは今日の主役「素魚(しろうお)」からです。
分類学上は、スズキ目ハゼ科シロウオ属に所属します。
分布範囲は北海道から岡山県(太平洋側)、サハリンから熊本まで(日本海側)、海外では朝鮮半島からウラジオストックまでで発見されているようです。
四国、宇和島周辺の小さな河川も有名な名産地みたいですよ。

先ほどお知らせしたように、川に戻ってくるのは産卵目的の親なんです。
3〜6センチの半透明で、頭は丸みを帯び、体は円筒形で「あぶらひれ」というものはないようです。
それでは「白魚(しらうお)」は、どんなお魚なんでしょうか。
サケ目シラウオ科シラウオ属に所属し、北海道〜九州沿岸、朝鮮半島、中国とこちらも広範囲に分布しているシラウオですが、成魚は8〜10センチとやや大きめです。
こちらも体色は無色で半透明、頭が小さくとがっているところで見分けが出きるようですし、体は縦扁しているようです。
 一番の違いが「あぶらひれ」があることで、サケ科に属する理由が分かりますね。
川に産卵しに来る時期は、ほぼ同じようですがシラウオは海でも獲れるので一年中お目にかかれるようです。
似たような姿形をしていてもいろいろと違うことがあるんですね。

私たちが住んでいる四国南西部では「躍り食い」「汁物」といった食し方が主流です。
お口の中にシロウオを数尾滑り込ませて一気に飲み込むと・・・のどの奥で大暴れ。
ちょっと残酷な食し方ですが、噛まずに一気に飲み込んであげましょう。
愛媛県津島町では毎年シロウオ祭りを開催して、いろいろな食し方を楽しめます。来年のシロウオの時期にちょっと出向いてみてはいかがですか。

シロウオを起点とした生態系の関係からこの時期に旦那が使うルアーが決まるんです。
さて、シロウオは私たちだけでなく海の小魚にも大人気のようです。
メバル、マアジ、メッキ、クロソイ、マダイ、カサゴ・・・そんなお魚たちが虎視眈々と自分のテリトリーに入ってくるシロウオを狙っているんですって。
それを見た旦那はこの時期、ブルーフォックスの「メバルベイト」というルアーを好んで使うようです。
 ソフトルアアー系の中でも珍しくお目目がついているかわいらしいルアーです。そのお目目によって、これまで一回使うとボロボロにされて針からはずれてしまうソフトルアーのイメージを覆し、何度喰わせても針からはずれにくいものになったと喜んでいました。

使い方は超小型のジグヘッドにつけるもヨシ、ラインにかみつぶしを装着し、ラインの先に適当な小さな針を結んで使うもヨシ。
はたまた、胴付き仕掛けに三本バリで使うもヨシとどんな使い方でも釣れるようです。
これは独特なアクションがなせる技なんでしょうね。
問題は、こんな微少な仕掛けを使って釣るのでタックルには相当こだわらないとおもしろくないと言うことでしょう。
以前旦那が使っていたトラウト用のすっごく細い竿はとうとう老朽化により寿命を迎えたようです。
何回も修理して大切に使っていたのに、とうとうお別れの日が来たのです。
ところが旦那の小遣いは・・・。
そのため、悶々と日々インターネット上のカタログを眺めては溜め息をついている旦那です。
「フレイムのFBVS600は柔らかいんでしょ。それで釣ればいいじゃない」と言ってみた私ですが「ちっちっ、バスロッドの0パワーとトラウトロッドやソフトルアー用の0パワーは、また違うんだ」って言われちゃいました。
「で、何が欲しいのよ」と聞いてみると、その声を待っていたとばかりにニコニコしながら「トラウト用のシルファーと新しくソフトルアー用に開発されたエクスプレッションが欲しいんだ」って畳みかけてきました。
「あ、そう」と冷たくあしらった私です。
翌日から、再び溜め息をつく旦那・・・。困った人ですね。
「春爛漫。新たな息吹を感じつつ、今日も元気に海と戯れ」字余り・・。
では、また。


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