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          新水産研究者観察ノート
カワハギ編

2006年7月17日
ボート月刊誌より
このコラムは2003年3月号のボート月刊誌に掲載されたものです。

日本中、何処にでも現れる餌取り上手のカワハギ君が今回の主役です。
おちょぼ口で小さなお目目、菱形の体型で愛嬌ある容姿。
そして、とにかく美味。冬場の鍋物として慣れ親しまれているお魚、それがカワハギです。
背鰭の一本が細長く糸状になっていることにより雄雌の見分けが付くという特徴も微笑ましい限り。
私的にはベタベタと手にくっつく鱗がなく、さらに皮が剥ぎやすいことがとても嬉しいお魚です。

このカワハギは、水深100メートルより浅い海の岩礁周辺やその周辺の砂浜に多く分布するようですよ。
全ての種類がそうなのかは分かりませんが、テレビで見たアミメハギという種類の睡眠状態がとてもユニークでした。
なんと海藻を噛んで夜になると眠るのです。
これで海藻の一部と化けて敵から身を守るのかな?
それでいて、睡眠中は潮によって流されることもないようです。
他にこんなお魚が存在するのでしょうか。
たしか寝袋を作るお魚は旦那から聞かされたことがありますが・・。
分布範囲は北海道以南、東シナ海のようです。
日本中何処へ行ってもお魚屋さんに並んでいるのも頷けます。
大きさは25センチ程度になるようです。

「餌取り名人カワハギ」
さて、世間では餌取り名人として有名なこのカワハギですが、どんな餌を好んで食べるのでしょうか。
旦那に聞いてみるとアサリなどの二枚貝やフジツボ、海底に隠れているゴカイを好んで食べるようです。
あの小さなお口でどうやって二枚貝やフジツボなどの貝殻を破壊するんでしょうね。
よく見れば頑丈な歯があるじゃないですか。
あれでバリバリやっちゃうのかな。
旦那にまたまた宿題を出しましたのでしばらくお待ちを。

そのうち水槽で飼っているカワハギがアサリをバリバリやっている写真を持って帰ってくれることでしょう。
そういえば砂浜に潜っているゴカイを食べるときはおちょぼ口を利用して水を噴射して掘り起こすようです。
動きは緩慢そうですが、食べることには非常に熱心なんですね。
このように美味しいだけでなく、その生態を知れば知るほどかわいらしいお魚なんです。

ところで、どうして餌取り名人なんて言われているんでしょうか。
旦那に直撃インタビューです。
「カワハギってどうして餌取り上手なの。」
「おお、あのおちょぼ口がくせ者なんだ。でっかく開かない口だから針に付いた餌を少しずつ端からつついていくんだ。だから針からきれいさっぱり餌をかじりとっちまう。」
「最後に針をつつくんじゃないの。」
「コレが不思議なことに針への警戒心は強いみたいだ。」
「でもスキンサビキなんかは食っちまうんだよな。」
「一番の秘密は、水中でウロウロせずに一カ所で定位できることだろう。」
「どうして定位できると餌取り名人なのぉ。」
「スズキは斜め下から大きな口を開けて餌と周辺の水を一気に飲み込むだろ。
あれだと針ごと飲みこんじまう。
水槽では沈んでいく餌の真横でじっと見つめて口を小さく開けてチュボって吸い込むことはあるんだけど天然海域では餌も逃げるからそれはありえない。
さらに餌を狙って周囲の魚が先を争って襲いかかるからね。
うかうかしていたら餌なんか口にできないだろ。」
「で、ブリやらカンパチといった青物もメタルジグを使って追い込ませて食わせるときは猛スピードで追いかけてきて大口開けて襲いかかるんだ。だから確実に針に掛かるよな。まあ、小さな活きアジを泳がせて釣るときは思いっきり小さなアタリしかないんだけど・・。」

「話は戻るけど水中でじっとして餌をかじり取るにはその場に居続けなきゃならない。カワハギはあの背鰭と尻鰭を器用に動かしてその場に定位し続けられるんだ。それで仲間も小さな口しかないからみんなで突いて食べても食べ遅れることがないんだろ。」
「それにとろくさそうな体型の割りには上下運動に対しては素早く対応出来るみたいで、仕掛けをしゃくり続けても餌だけ泣くなっちまうことが多いんだよなぁ。」
「じゃあ、釣るのは難しいのネ。」
「でもな、今夜のおかずを釣る程度ならサビキに生でもボイルした奴でもいいからオキアミをセットして誘い続ければすぐに釣れちまうぞ。釣り始めに今夜のおかず分を釣っちまわないと時間とともにカワハギも警戒して釣れなくなるけどな。」
「じゃあ、私でも釣れるんだ。」
「・・・・。」

さて、最後の沈黙はおいといてこのような理由が餌取り名人と呼ばれる理由のようです。
我が家は海に近いのでいつでも釣りに行けます。
それこそ、わざわざ船で沖に出る必要もないぐらいのカワハギの生息量も多いようです。
無精な旦那は、砂地や貝殻海底の近くにある岩礁地帯や障害物周りでまき餌も使わずサビキ仕掛けだけでカワハギを釣って帰ってきます。
「巻き餌使うとにおいが出るからな」ですって。
ホント、味にはうるさい旦那です。
陸でもそれだけ釣れるのだから、ボートで専用の仕掛けを作り、しっかりと狙えばいくらでも釣れるんでしょうね。
まあ、我が家の小さな冷蔵庫ではそんなにたくさん釣って帰ってきても入れるスペースはないのですが。

「カワハギの食しかた」
冒頭で皮が剥ぎやすいとお話ししましたが、それでもコツはありますよ。
まずは背鰭と口の部分を切り取りましょう。
それだけで片面ずつ思いの外、あっさりと皮を剥ぐことが出来るのです。
皮を剥ぎ取ったら肛門から包丁を入れて肝をつぶさないように切り取りましょう。
コレで下ごしらえは完成です。
鱗を剥がなくて済むのがとっても嬉しいお魚なんですよ。
ホント、主婦の味方的存在なんです。大きさも手頃で、台所で簡単に処理できますもんね。
嬉しい限りです。

昔、旦那が白身のお刺身を二種類もって帰ってきました。
「食べ比べてみな」と言われて試してみました。
片方はやや黄色みがかかった白身のお刺身、そして片方はそれと比較すればより白いお刺身でした。
前者は淡泊なお味で美味しかったのですが、後者は淡泊の中に芳醇な甘さを感じることが出来ました。
答えはイシダイとカワハギだったのです。
いざ同時に食べ比べるとカワハギのお刺身は味が濃厚なことがよく分かりました。
みなさんも他の白身魚と食べ比べてみてください。
カワハギの濃厚なおいしさがよく分かりますよ。

切り方はフグのお刺身同様、薄作りでいただきましょう。
これに湯引きして臭みを消したキモをすりつぶして数滴ほど醤油を垂らしお刺身とあえてみてください。
紅葉おろし、ポン酢、細く切ったネギを薬味にいただけば「これぞ冬の王道」間違いなしです。

ところで、我が家ではフグ料理なんて早々食べられるものじゃありませんので、試しに「今夜はフグ刺しよ」と旦那を騙してみました。
ところが「フグはこんなに身が柔らかくないだろ」ですって。
あっさりと見破られた私でした。
他にも、唐揚げ、塩焼きといろいろ試してみてくださいね。
カワハギはどんな料理も可能。
もちろん、熱々のお鍋は最高です。
寒い日々、家族団らんで熱いお鍋を取り囲んで寒さや不景気を吹っ飛ばしちゃいましょう。


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