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          新水産研究者観察ノート
イサキ編

2006年7月17日
ボート月刊誌より
このコラムは2003年2月号のボート月刊誌に掲載されたものです。

「海がおかしい」という台詞が飛び交い始めて何年経ちますかね。
5年位前までは「昨年と比べるとちょっとズレてる」っていう話だったのに、最近では「おかしい」という表現に変わってきています。
例えば護岸にびっしりと付着していたカラスイガイやカキ殻がきれいさっぱり剥がれてしまっていたり、あれだけ生い茂っていた海藻類が全くなくなってしまったりという現象もよく聞くようになりました。
季節になれば、その季節ごとに多種多様な水中の生物が私たちの目と食を楽しませてくれていた日本列島を取り囲む海。

その中で生物生産の最も激しい浅海域、波打ち際の生活環境が急激に変化し続けていることに危惧する今日この頃、旦那たち釣り軍団も「今頃は○○が釣れ始めなければおかしいんだけど、さっぱり釣れないな」と困っているようですよ。
旦那は「この時期に現れる○○は△△を捕食するんだけど△△が未だに現れないとなると○○のシーズンインはまだ先だな」と分析しているようです。
捕食される生物、捕食する生物の関係、つまり食物連鎖の歯車が狂い始めているという心配をしている旦那ですが、さてその原因はどこにあるのでしょうか。
宇和島の海だけがおかしくなってきているのかな?
話をしていると松山のおいちゃんも「今年は松山の海(瀬戸内海)もおかしいよ」と言っていたそうです。
愛媛県の海がおかしいのかな?もう少し範囲を広めて情報収集をしていくと、旦那の北陸、上越、三重県方面のネット仲間(釣り仲間)のみなさんも年々魚種や出現時期がズレてるよと教えてくれました。
日本列島を取り囲む海は一体どうなっているのでしょうか。

「イサキも海の影響を受けて出現が大幅に遅れました」
小難しい話をいきなり始めた私ですが、大好きなイサキがなかなかお土産として現れなかったためにちょっとボヤいてしまったのが正直なところなのです。
初夏の美味しい白身魚と言えば一にも二にもイサキです。
その後、タチウオへと続いていくのですが今年はタチウオの方が先にお土産になっちゃいました。
「今年はタチウオがもう釣れ始めた」と騒いでいた旦那なのですが、すぐに「もう釣れなくなった」
そして「また釣れ始めたけど小さい」とコロコロと言うことを変えていました。
分かりやすく聞きなおすと、宇和海のタチウオは概ね10月初旬頃から釣れ始めて徐々に大きくなっていくそうです。
ところが今年は9月にはすでに指5本サイズが沖で釣れ始め、豊漁と騒いでいたのも束の間、あっというまに姿をくらましたそうです。
慌てていると今度は指2〜4本とやや不満サイズのタチウオが釣れ始め、今に至っているようです。

タチウオの出現に惑わされて、とうとう旦那は初夏の美味しい白身魚「イサキ」を釣り逃したのでした。
代わりに秋も深まってきた頃、ようやくイサキの子供を釣ってしまったそうです。
産卵数ヶ月後の晩夏〜初秋に釣れるはずのイサキの子供が遅れに遅れて秋本番に姿を現した今年の宇和海。
やっぱり何かがズレてきているんでしょうね。
生まれが遅いと言うことは来年以降、産卵時期を迎える頃までに立派に成長してくれているのでしょうか。
すでに来年の初夏の美味しいお味の心配をしてしまう私なのです。
イサキだけでなく、「今年はスズキの子供も見かけないぞ」と心配事の多い旦那です。
黒潮の蛇行の影響でモロはずれ年らしい今年の宇和海ですが、来年は大丈夫なんでしょうか。

「イサキの素性」
冬場は沖の岩礁域で群れをなし、産卵時期の梅雨から初夏にかけて美味しくなって浅い場所に姿を現すイサキです。
初夏の脂ののりきったイサキのお刺身、卵のショウガ醤油煮・・・思い出すだけでヨダレが止まらなくなっちゃいます。

さて美味しい話は後にしてまずはイサキについて解説していきますね。
旦那が持ち帰ったイサキの子供なのですが外見は体に明瞭な三本の縦縞がありました。
この縦縞は成長すると不明瞭になり我が家の食卓に上る40センチサイズでは跡形も残っていない状態です。
幼少期は比較的内湾の藻場や岩礁域に群れで居て、成長すれば沿岸海域の深場にある藻場や岩礁帯付近に移動し、夜になると浅い場所に移動して小魚や甲殻類を捕食することが多いようです。
最大サイズは約40センチ。
本州中部以南に広く分布するやや暖海性の魚のようです。

釣り方はいたって簡単。
サビキ仕掛けでうまくタナさえ合わせれば家族の人数分なんてアッという間に釣れるそうですよ(その割には、今年は旦那が食卓サイズのイサキを持ち帰って来なかったんですけど・・)。
何でもかんでもルアーで釣りたい旦那です。
「最近サビキなんか買ったことないでしょ。どうやって釣ろうとしているのよ。」と問いただしてみると案の定でした。
「お、おう。今年は小魚、甲殻類を食べるイサキを見事ルアーで狙ってみたのだが・・・」と語尾がはっきりしません。
「詳しいタックルを正直に言いなさい」と問いつめると渋々と語り始めました。
40センチ級のイサキをスリル満点に釣って楽しむためにウルトラ・ライトタックルを使っていたようです。
竿はアングラーズ・リパブリック・パームスのフレイム600(6ft、1/16〜3/16オンス、2〜6ポンドラインクラス、竿重量110グラム、お値段定価で38000円)というものを使っていたそうです。
私が買ってあげた664(ベイトタックル用)では強すぎてイサキを釣るには勿体ないとのこと。
まったくいつの間に買ったんだか・・・。

600のスピニングタックル用ですが、インターネットで検索してみると次のように書かれてありました。
「マイクロプラグでのトップウォーターゲームや、ミノーゲーム用にデザインされた0パワーのグラス・スピニング。モデレートでありながらシャープさを残した独自のキャストパフォーマンスで快適なライトプラッギングゲームを実現。」私には竿の事はさっぱり分かりませんが、実物を見る限り相当細めで柔らかめに作られているようです。
「これでイサキの40センチを釣った日には一尾で十分堪能できるんだぞぉ」とほざいている旦那はおいといて、確かにこれでお魚を釣ったらあっちやこっちに振り回されて楽しそうに見えます。

「リールは?」と聞いたら、これは昔から使っているリールのようです。
もう何年も使い続けているのでずいぶん傷だらけになっているトーナメントZ2500とエンブレムZ1500がイサキ用として使われていたようです。
「ラインは?」と聞くと、「安心低価格、強さと感度抜群のラパラ・フィネスライン4〜6ポンドだ」と即答してきました。
「同じ場所で、ワラサやカンパチの若魚も釣れるんでしょ。そんなのでちゃんと釣れるの」と聞くと「それはさすがに俺の腕では無理だから、買ってもらったフレイム664やコーラルスターに持ちかえるよ」とのことでした。
ライトタックルで浅場に寄ってきたランカー・イサキだけを狙うので深い場所で釣る場合には、やはり早く沈めるためにおもりを使ったり、メタルジグを使うのでやや頑丈なタックルになってくるんですね。

「イサキ三昧」
脂ののった旬のイサキは、お刺身と塩焼きに限ります。
卵白、塩少々、いりゴマをまぶした後、サラダ油でからっと揚げるという裏技もありますが、ぜひお熱い塩焼きをお試しください。
旬は梅雨から初夏にかけてです。
来年のその時期までしばらくお預けです。
宇和海、そして全国的に大きく美味しいイサキが豊漁であればよいですね。それでは。



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