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                           ポータブルボートの安全対策
     2006年 9月 27日
ボート月刊誌より
この記事は2005年3月、ボート月刊誌に掲載された情報です。

■ポータブルボートの安全対策の基本
カテゴリーで、アンダー1.5kwクラスのポータブルボートの販売台数が大幅に増加しているという。
規制緩和の影響がはっきりと数字に現れてきているようだ。
しかし一方で、はじめてそのクラスの事故が発生するなど、その安全対策の啓蒙が急がされている。
今回から連載でスタートする「セーフティ・ポータブルボート」は、様々な角度からセーフティなポータブルボートの楽しみ方を取上げて行く。
今回はアンダー1.5kwを含めたポータブルボートの安全対策の基本。

◆SAFETY1(購入する前に)
免許も船検も必要無いというカテゴリーができた規制緩和の恩恵によってポータブルボートの注目度が高まってきています。
しかし、この「免許・船検」の必要が無いということは、それだけユーザーの自己責任に対する高い意識が求められるということです。
小さくて手軽に楽しめるボートだからリスクも少ないということではないのです。
むしろ、より木目細やかな安全対策が求められます。

「自己責任」とは、自分自身の安全を守るために最善を尽くすと同時に、周囲に迷惑をかけないよう自分の行動に責任を持つということ。
ポータブルボートを楽しみたいと考えているなら、まずこれをしっかりと認識しておいた方がいい。
いくら免許や船検が必要無いといっても海や湖などには、それ以外の船舶も航行しています。
フィールドを共有する以上、そこにルールやマナーが存在するのは、あたりまえのこと。
そういったルールやマナーを事前に理解しておくことも重要です。

また、ボートオーナーなら誰しもその重要性を痛感しているライフジャケットの着用や防水ケースなどに入れた携帯電話など、最低限の安全備品の準備、さらに天候の判断や自分が楽しむべきフィールドの情報収集をどうするか、小さなボートで海に出るということを前提に、しっかりと準備しておきたいもの。

また、実際に自分がボートを購入した時にどこからエントリーするか。
ボートを安全に揚げ降ろししたり、あまり風波の影響を受けないポイントを事前に探しておくことです。
気象条件の良い日によくポータブルボートの利用者がいるポイントに実際に出掛けてみて、そういった人たちから情報を得るのもいいでしょう。

そうやって知り合いになっておけば、実際にボートを購入してエントリーする時にも心強いもの。
むしろ、いきなり知らない場所で一人で海にでていくというのは無謀なこと。
誰もが最初はビギナー、その気持ちをみんな知っているから、親切にいろんな情報を教えてくれたり、アドバイスしてくれるはずです。 

◆SAFETY2(ボートの運搬)
●カートップでボートを運搬する時には、しっかりとした対策を考えよう!
ボートをクルマで運搬する方法は、いくつかの方法があります。
まず気を付けなければいけないのが、ルーフキャリアを使ってボートをクルマの屋根にカートップして運搬するとき。

この場合、クルマメーカーにしてもルーフキャリアメーカーにしても、ボートを載せて運搬することを前提していませんから、万が一破損などのトラブルがあっても原則としてメーカー保証は受けられないと思った方がいいでしょう。
厳密にいえば、カートップでボートを運ぶこと自体が法律で認められているわけではないので、カートップを移送手段に使うのであれば自己責任で対処しなければいけません。

また高速道路を利用する際は、一般道を走る時以上の風圧をボートに受けるので、高速に入る前に固定したベルトをもう一度チェックする等の気配りも必要です。

●滑りやすいスロープではランチャーなどを使ってボートを運んだ方が転ぶ危険が少なく、安全!
小さなボートでも自分で持って運ぶとなると、それなりに大変。
ある程度の重さなら持って運べないこともありませんが、それでも駐車場から水際までの距離がある時には、けっこう重労働です。
 
それより、藻が生えていてスリッピーなスロープでは、重いものを持ったままは入っていくと滑って転んでしまう可能性もあるので危険です。
そういったスロープを利用してボートの揚げ降ろしをする場合は、小型ボート用のアルミランチャーなどを使って運ぶようにしたいものです。
いってみればボートを上に乗せて運ぶコロみたいなもので、これならボートさえ乗せることができれば、後はある程度の距離があっても一人で簡単にボートを運んでいくことができます。

そういった小型ボート用のランチャーは、分割・組み立て式で工具の必要もなく、誰でも簡単に組み立てることができるようになっています。
いずれにしても、そういった運搬具がひとつあれば格段に便利なるだけでなく、いろんな意味で安全です。
用意しておきたいものです。

●エンジンを運搬する時のチェックポイントと、燃料を運ぶ時の注意点を、よく理解しておこう!
ボートにセットしたままトレーラーで運ぶ以外、船外機は車内に積み込むしかありません。
人数が少なければ、座席前のスペースに立てかけたり荷台に寝かして置くのが一般的。
いずれにしてもしっかり固定できる方法考えましょう。
 
できることなら、アルミやプラスチックなどのパイプでクルマにエンジンを積み込んだ時に固定できる専用の台座のようなものを作っておきたいものです。
もちろんそれなりの強度と安定性を考慮しなければなりませんが、これがあれば走行中にエンジンが転がったり、何かと擦れてエンジンのカウルなどに傷がつくこともありません。
こういった傷はサビの原因にもなるし、なにより走行中も安心です。
 
また帰りの運搬時には、キャブレター内の燃料を抜いておくことも大切です。
燃料がキャブ内に残っていると、漏れてクルマの中が臭くなる可能性があります。
もうひとつ、エンジン上部(キャブレター)がプロペラの位置より高くなるように収納することです。
もし冷却系統に水が残っていたりすると、エンジン上部がプロペラより低くなることで水が逆流してシリンダーがサビつく原因になるからです。
そのためにも使用後は、船外機スタンドにしばらく立てて乾かし、水を出し終えてからクルマに積み込むといいでしょう。
 
燃料はできるだけエントリーする場所の近くで購入すること。
スタンドでは、ポリタンクにガソリンを給油することは消防法で禁止されています。
そのために法的にも安全面でも問題なくガソリンを給油して運搬するには、消防法などの規定を満たすステンレスやスチールなどの金属製のタンクが必要です。
安全のためにも、そういったタンクを一つ用意しておきたいものです。

◆SAFETY3(出航前)
●フィールド情報は海図などで十分にチェックしておこう!
初めての海域では、まず海図から情報を得ることになります。
海図を見ながら目的となるポイントを設定します。
基本的には海岸近くを航行するわけですから陸上の物標やコンパスも大いに活用できるはずです。
同時に狭い水路や岩礁の危険も出てくるので水深などは海図でしっかりチェックし、危険箇所を判断する必要があります。
また、ボート仲間やマリーナ、漁業関係者などからその海域・潮回り・風向きの特徴など、積極的に情報を集めましょう。

●天候は毎日のようにチェックするようにし、天候が悪化しそうな時は無理に出港しない!
海の天候はボーティングに大きな影響を与えます。
天候の変化に無関心な人はある意味海を楽しむ資格がないといってもいいでしょう。
さっきまで晴天だったのに、西の空から暗雲が立ちこめるという時もあります。
近くにいた漁船が急に全速で帰っていくような時は、決まって天候が急変します。
あっという間に突風が吹き始め、海面には白波が立ってきます。
そうなったら小型のボートではひとたまりもありません。
そうなる前に天候を判断するということがポイントです。
特にポータブルボートは天候に大きく左右されます。
天候が悪くなる状況なら無理をして出航しない、それも大切なことです。

●実際の定員より少なめに考えておこう!
長さが3m前後のポータブルボートの定員は大体2〜3名というケースが多いものです。
これはボートの長さや艇内の面積などから割り出された数字ですが、実際に「定員3名」と記載されたボートでも燃料タンクや法定備品、クーラーボックスや釣り用具などを積み込んでしまうと、人間の乗るスペースは思ったより狭くなってしまいます。

荷物に囲まれて窮屈な姿勢でボートに乗るのは辛いですから、積み込む物は必要最小限に抑えます。
おおざっぱにいえば、定員マイナス1名が、ゆとりあるスペースを確保する目安になるでしょう。
また、定員における子供の人数の数え方は、12歳未満の子供の場合、2人でおとな1人分に数えられています。

●出航前にエンジンやボートを点検しておこう!
どういったボートであっても出航前に点検することは不必要なトラブルを未然に防ぐという意味では大切なことです。
ましてや初めての出港となれば、より慎重に点検をすることが安全につながります。
当然ポータブルクラスのボートですから、販売店の人が立ち合っていろんな点検を行なってから引き渡すという一般的なボートのようにはいきません。
基本的には、立ち合いをお願いしない限り、自分自身で点検しながら実際にボートを出艇させることになります。
最初の出艇はそういったボートの点検といろんな操作に慣れることが目的と割切って、じっくりとボートをチェックしたいものです。
いきなり釣り道具を積み込んで沖に向かうのは、考えものです。

◆SAFETY4(エントリー)
●安全にエントリーできる場所を確保しよう!
これまでにも何度か解説していますが、ビーチからボートを出すことをランチング(LAUNCHING=進水)といい、ビーチに帰ってボートを揚げることをランディング(LANDING=上陸)と呼びます。
ポータブルボートの現状では、スロープの利用を含めて、ほとんどがこのランチングとランディングの繰り返しです。
ポータブルボートでは最も重要なボートコントロールです。
大事なのは場所選びで、波がなく岩などもない平坦な海岸というのが理想ですが、なかなかそうわけにもいかないもの。

多少、岩混じりの海岸であってもボートの出入りできる水路が確保できそうだったら、まずは波のないところを優先した方がいいでしょう。
ただ、満潮時には問題なくても干潮時には岩だらけといった具合に、潮の干満で様子が変わることも多いので注意が必要です。
 
ランチングの際には、まずボートと波を直角にすること。もちろん、必要な荷物はあらかじめ積み込んでおきます。
波打ち際にボートを置いたら、まず1名はすぐにオールで漕ぎだせる体勢で乗り込み、もう1名が勢いよくフネを押して乗り込みます。
慌てることはありませんが、素早く波打ち際を脱出することが大切です。
波打ち際を脱出して十分な水深になったら、エンジンを降ろして始動させます。
 
ランディングはランチングの逆。ボートの真後ろから波を受ける姿勢でエンジンを停止して引き上げながら、オールで目一杯漕いで砂浜に乗り上げます。
船首が接岸したタイミングで舫いロープを持って飛び降り、素早くボートを引き上げます。
追い波でボートが真横を向くと危険なので、ランチング以上に素早く行うことがポイントです。

●腕試しを兼ねて、実際にランチングでエントリーしてみよう!
実際に砂浜からランチングでボートを出してみよう。まず、出発する前に、法定備品やオール、船首に結ぶ舫いロープなどを確認して、忘れ物がないように積み込んでおきましょう。
もちろん船内はきちんと整理しておきます。
 
波打ち際にボートを運んだら船首を海に向け、ボートを押し出します。
干潮になると岩が顔を出す場所もあるので、十分に注意してください。
 
ボートに行き足が付いたら蹴りあげるように船尾から乗り込みます。 
すみやかにボートを中央に移動したらシートに座りオールを漕いで沖に漕ぎ出します。
暗岩(水面化の岩)などに注意しながらコースを見定めましょう。
ある程度水深のあるところまで進んでからエンジンを降ろしてスタートしましょう。
 またランディングはこの逆。オールを漕いで近づき、舫いロープを持って降り立ちます。
波があると横向きに押し流されることもあるので要注意です。



※マリーナでの揚げ降ろし
ポータブルボートなどといった可搬艇の揚げ降ろしは、多少料金を支払っても目的地近くに利用させてもらえるマリーナがあるならお願いした方がいいという話は、これまでにもしてきました。
ビギナーにとっては、便利で安心だからで、最初の内はそういったマリーナを利用するのもひとつの方法です。
 
まず、駐車場が確保できます。次に周辺の危険水域や漁業情報、天候や気象などの必要な情報を聞いたりもできます。
フィッシングを楽しむにも、時間があればポイントまで教えてくれるかも知れません。
 
次に海上で万が一、トラブルが発生した場合の連絡先となります。
さらに帰ってきてからの水洗いなどで水道が利用できことまで考えると、利用させてもらえるマリーナがあれば利用しない手はないでしょう。
揚げ降ろし時のトラブルの不安もないし、海上でも安心してボーティングが楽しめるはずです。
ただし、マリーナはあくまでもボートの保管契約をしているメンバーが優先。
持ち込み艇は、利用させてもらっているということを忘れないでほしいものです。

混雑している状況によっては、揚げ降ろしに少し待たされる場合があるかもしれません。
また他のボートの迷惑になることや、マリーナの作業の邪魔にならないように注意したいものです。

◆SAFETY5(航行時と帰航)
●エンジンがあってもオールは必需品。まずエンジントラブル時を想定して漕いでみよう!
いくら船外機エンジンの付いたボートといってもオールは必需品です。
例えば浅瀬や岩場の多い水際から乗り出すとき、十分な水深が得られるまではオールで漕ぎ出さないといけません。浅瀬や岩場の多いところですぐに船外機を下ろしてエンジンをかけてしまうと砂を巻き込んだり、プロペラを岩にぶつけてしまう危険があります。

そのようなトラブルを防ぐためにも、水深の浅いところを過ぎるまでは船外機はチルトアップ(プロペラ部分を引き揚げること)して、オールで沖合まで漕いで、それから船外機をチルトダウンしたいもの。
 
また、沖合でエンジントラブルを起こした際の自力回航手段としてもオールは補機的な役割をもっています。
ただ漕ぎやすさやそれだけ進むかなどは、ボートによって異なっています。
まず最初にエンジントラブルが起きたということを想定して、オールでどれだけ漕げるか試してみましょう。
 
オールの取り付けは船べりにオールクラッチが埋め込まれていると便利。
漕ぐときもクラッチを支点に回転するのでオールさばきもスムーズで、収納時もクラッチに入れたまま船べりに固定できてスペースをとりません。



●アンカーリングも安全対策上、重要な操船技術。いざという時のために、実際に試してみよう!
アンカーリングは安全のためにも必要不可欠なボートコントロールの一つです。
ポータブルボートは、どちらかというと風に流されやすい特性を持っています。
特に浮力のあるインフレータブルボートは、沖でエンジントラブルなどが発生したときに、モタモタしている間にどんどん風や潮に流されていってしまいます。

そんな時すぐにアンカーを入れて、ボートが沖や危険な本船航路などに流れていくのを止めなければいけません。
いずれにしてもアンカーと必要な長さのアンカロープは忘れずに積んでおきたいものです。
アンカーロープは一般的には水深の2〜3倍の長さが必要とされています。

またポータブルボートに適したアンカーにはどういったアンカーがいいのか、そのあたりも十分に判断して備えておく必要があります。
 
まずアンカーの種類と特徴です。まず小型のインフレータブルボートに適したアンカーといわれている(アングラーズ)(ANGULERS)と呼ばれる小型マッシュルームアンカー。
フリュークの把駐力は少ないのですが、自重で砂泥地に沈下していくタイプ。
次に小型のプレジャーボートで最も多く使われているダンフォース型(DANFORCE)と呼ばれるダブルフリュークのアンカー。
重量の割には、クラス最大のフリューク面積をっ持っているため、砂泥地では軽量なものでも十分な把駐力が発揮されます。
そしてもう一つが、アンカーの弱点である「かさばる」ということを、折り畳んで棒状に収納できるようにしたフォールディング(FOLDING)タイプのアンカーなどがあります。

●燃料の残料は常にチェックするようにし、ガス欠にならないようにしたいものです!
移動が自由にできるポータブルボートだからといって、購入後すぐに外海などに乗り出すのはトラブルのもとです。
まず波の穏やかな水面でボートの出し入れのコツを掴み、自分のボートの特性を十分に把握してから、フィールドを広げていくようにします。
 
できれば漁船や大型船の航行が少ないエリアを選びます。
その際忘れてはならないのが、予備の燃料タンクと工具類、そしてコンパスと簡易チャート。
予備の燃料タンクにも混合ガソリン(2サイクル船外機の場合)を入れておき、いつでも使えるようにしておきたいものです。
予備タンクを積むスペースがなければ、常に走行中の燃料をチェックしてガス欠にならないように注意するようにします。だいたいの燃料消費量を把握しておくことも大切です。

●帰港したら、すみやかに連絡をしよう!
出港時に連絡や届け出をしたところに、帰港したことを連絡しましょう。
特に漁協などにことわって漁港のを使わせてもらっている場合は、忘れずに帰港したことを伝えましょう。
忘れてそのまま帰ってしまうと、心配するだけで無く漁協の管理責任の問題もあるので大変な迷惑をかけてしまうことになりかねません。
もちろん、携帯電話を使って自宅を連絡場所にしている場合も帰港したらすみやかに連絡を取るようにしたいものです。

◆SAFETY6(ルールとマナー)
●ゴミはすべて、持ち帰ってから捨てるというのが、海を楽しむ時のマナー!
海や山では発生したゴミを必ず持ち帰るというのがマナーです。
学生時代山登りを始めた時に、まず最初にそれを教わりました。当たり前のことですが、それができない人が多いのが残念です。
 
実際テレビですら、海辺に設置されたゴミ箱から溢れて散乱しているゴミの山を前にして「ゴミはきちんとゴミ箱に捨てて欲しいものですね」と言ったりしているくらいです。
ゴミ箱に入らないほど溢れているから、その辺に投げ捨てて帰ってしまうのです。
それを地域の住民やボランティアが手間と費用をかけて清掃しているわけです。

週末は1〜2時間ほどでゴミ箱が溢れると言うことですから大変な労力です。
ゴミは持ち帰って自宅で捨てるというのが、海や山などを楽しむ場合の基本です。
もちろん漁港などの公共的な場所でも同じ。以前、釣り人が残していくゴミのことが社会問題化しました。
同じように「ボートを持ち込んでくる人はゴミばかり残していく」なんて言われないようにしたいものです。


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