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読者諸氏におきましてはスターンドライブ式(船内外機)とアウトドライブ式(船外機)との違いはお分かりのことと思いますが、その両方ともにプロペラの向きを変えることによって船が進む方向を決めています。 それに対して一般船舶においてはプロペラーの向きが固定(いわゆる船内機)されていて、舵板といわれる板に受けるプロペラーの放出流の圧力差によって船の進む方向を決めたり保針をするものが多いのですが、この章ではスターンドライブに限定したお話をいたします。 放出流の向きによってコントロールをするこれらの船舶では、船内機に比して微足や停止状態からの旋回性能は敏捷であるといえます。 実際の操船に当たってはこの特性をはじめとして、船体の長さに対する幅の割合によっても動きが変わりますし、船底の角度や喫水の探さによってもこの特性が変わることを考慮して操船しなければなりません。 ■前進離岸のテクニック 無風・無流の時の離岸(一軸船の場合) 大きな船ではあまり行ないませんが小型の船舶では普通に行なわれている方法です。 大きな船では岸から離れようとしても船尾が岸側に振れて接触するので、いったん船尾を沖側に振り出しておいて後進にて離岸する方法をとりますが、小型の船舶においては船尾の振り出す実質的量も多くはなく、前方にある程度のスペース的な余裕があればフックなどで押し離しての前進離岸も容易に行うことができます。 (1)先ず出航準備をしている間にもエンジンを始動しておく。(暖機運転を兼ねるとともに先ほど迄快調に動いていたエンジンもハタと始動しなくなってしまう事があり、「ロープを解いてから始動しようとしても掛からず、為す術もなく流されてしまった」ではお粗末過ぎます。) (2)準備が整ったら解らんする。 (3)船体を桟橋から押し放す (4)舵を桟橋と反対側にきる。(一般的ボートの場合、舵輪は二分の一から三分の一程度とします。) (5)エンジン回転は一番スローにしたまま前進する。(船は船尾を桟橋の方に寄せながら走り始めるので桟橋との接触に注意してコントロールレバーとハンドリングで調節します。) (6)安全なところまで離れたら離岸完了。 この方法は小型船舶の場合、最も基本に近い方法ですが風や流れの影響がない場合に限られます。そして一軸船二軸船共に行なえる方法ですが、二軸船においては左右両機を同じように使用することが前提です。 例えば桟橋側のプロペラーのみを前進にしたりするなど理屈がわからずに操作する事は避けるべきです。 これは船体の旋回径が小さくなり操縦者が考えたより船尾が大きく桟橋の方に張り出す事から船尾と桟橋の接触や乗船者の傷害を誘発するからです。 しかしこの極基本的な離岸も、自船の前が二艇身以卜空いている場合であって、空域がない場合にはかなり困難なことになります。 こんなときにはあとに述べる後進離岸がよいでしょう。(図1) 無風・無流の時の離岸(二軸船の場合) 二軸船の場合であっても無理に左右のプロペラーを操作しないで左右同時に同じように操作するのが一番無理なく、基本に則った方法といえるでしょう。 そしてこの方法は前述の一軸船のそれとまったく同じように扱えばよいのです。 このとき大事なことは左右のプロペラー回転が同じになるようにしないと船を推す力がアンバランスになってしまい、思った方向とは異なる方向に動いてしまいますく、マリーナなどで見かける光景は、往々にして応力の方向や強さを考えずに左右の機関を別々に操作するところから、かえって船が思わぬ方向に動いてしまい、離着岸に失敗してしまうケースを見かけます。 二軸船を思うように扱うためには、それぞれのプロペラーが発生する力の向きや大きさと周囲の風や流れの力が、船体の動きにどう影響していくかということを考えそして判断できることが絶対的条件ともいえますから単純に、免許を取ったから船が動かせると考える人はいっまで経っても進歩しないし、二軸船をいつどのような場所でも効果的に動かすことはできません。そんな意味では二軸船の良さを有効的に引き出すことができる人はほんの僅かな一握りの人であるも言えるのです。 船の操縦は無風で流れがない状態においては、船独特の動きに慣れてさえしまえば基本通りの操船で済むのですが、実際においては風もあり流れもあり、場所によっては波もあるわけですから自動車のように少しばかり操船に慣れたからといってスムーズに離岸着岸をすることができなくなるわけです。 岸側からの風を受けて離岸 岸から離れるということだけを考えれば、風が強ければ強いほど簡単ですがその手順を誤ると思わぬアクシデントが発生します。(1)先ず出航準備をしている間にもエンジンを始動しておく。(曖機運転を兼ねるとともに先ほど迄快調に動いていたエンジンもハタと始動しなくなってしまう事があり、「ロープを解いてから始動しようとしても掛からず、為す術もなく流されてしまった」ではお粗末過ぎます。) (2)舫っているロープ以外に別ロープを前後ともにバイトにかけます。 (3)準備万端整ったらバイトにかけたロープを残して解らんする。 (4)船首ロープ〈バイトにかけたロープ〉を次にはずし船体が風に押されて少し沖側に向くのを待つ。 (5)船尾にかけたロープをはずす。 (6)船は風邪に押されて桟橋から離れ、前後に他船がない場所まで出たならば離岸完了。 これは風や流れが桟橋側から沖に向かって強く吹きまたは流れているときでありますが、弱い場合でも解らんに手間取ったりしそうな場合や作業を−人で行うときには確実な方法でしょう。 ※ バイトこ繰り出したロープをビットなどにかけて先端を繰り出した側に果すことをいつて、船に乗ったまま肪ったロープをはすすときに用いられる。〈「バイトにかける」、または「いって来いにする」ともいう) したがって、陸上の係船具に結びつけないで、船のロープの片方を放して残ったロープを手練れば解らんのために下船しなくてもよく、風の強いときに解らん作業中に船に引っ張られ、乗り損ねたり引きずられて水に転落する心配がありません。(図2) 風が沖側から吹いている場合(一軸右回り船) この状態からの離岸が一番やりにくく、離岸失敗を繰り返し、離岸時のなかでは船体を破損するケースが多くなります。それは、風が桟橋に向かって船を押し続けるために通常の離岸方法では容易に岸から離れることができなくなってしまうからです。 従ってこのような場合には前進離岸は奨められませんが前後の関係から前進しか方法がない場合、速やかなかつ的確な操船と動作が要求されるでしょう。 (1)先ず出航準備をしている間にもエンジンを始動しておく。 (2)斬っているロープ以外に別ロープを使って船尾の沖側(桟橋と反対側)の係船設備から斜め後方の陸にある係船具を使ってバイトにかけます。 (3)準備が整ったらバイトにかけたロープ1本を残して船首船尾の係船ロープを解らんする。 (4)3を終了したら間を入れず舵を沖側に切り、前進を強めに入れ、船体が風に逆らって沖側に向くのを待つ。 (5)できる限り風の吹いてくる方向に向くまで待ち、バイトにかけたロープをはずせば船体は沖に向かって走り始めます。(図3) ※バイトにかけるロープは離岸が完了するまで切断することがないように応分の太さを有していなければなりません。
■後進離岸のテクニック 無風無流の時(一軸船) 8割以上の一軸船が使っている右回りのプロペラーの場合で説明しますが、左回り船では右左を入れ替えて考えてください。一軸右回り船は後進にするとプロペラにかかる横圧は左舷方向にかかり、船尾が左に振れようとする癖がありますが、スターンドライブ式のようにプロペラの向きが変わることによって放出される水流方向が変わるものではこれを舵(プロペラの向き)の方向によって調整することができます。 したがって、着岸状態からでも舵を桟橋と反対方向に切っておき、そのまま後進すれば、船尾は次第に桟橋から離れるように戻り始めます。 このときに船首はわずかながら左に偏出するような態勢でさがりますから、あらかじめ船首左にフェンダーを入れておくか、桟橋に接触するようであれば舵を一旦中央付近にまで戻して船体が離れていくのを待ちます。 しかしこの条件下では船体が桟橋から30〜50センチも離れていれば問題なく離岸できるのが普通です。 (図1) 無風無流の時(ニ軸船) 風や流れがないときの離岸では二軸であるからといっても前一軸とかわりありません。 なぜならば、左右のプロペラを別々に作動させなくても同時に後進にすればよく、二軸の特性を引き出さなくても十分安全に離岸できるからです。 二軸だからといって、左右別々の操作をしている人を多く見かけますがそれが船の動きを反って複雑にしてしまい、離岸や着岸を失敗に追いやってしまう結果になります。 岸側から風を受けての離岸 船は風を横から受けると船首が斜め風下に向こうとする性質がありますが後進するようにプロペラを回転させるとその傾向は顕著に現れますから、舵を沖側に切って後進にするとプロペラは船尾を沖側に引き出そうとするとともに、船首も沖に動こうとする力が働くので船体は桟橋に対して平行を保ちながら沖へと移動する傾向があります。 しかし、自船のすぐ後ろにほかの船舶がある場合にはともすれば接触事故を生じかねないので、ボートフックなどで少し押し離せば風に押されて艇はすぐに安全なところまで離れるでしよう。 操船に当たっては風の力を利用するのも操船技術の一つです。(図2) 風が沖側から吹いている時(一軸船) 離岸のテクニックとしてすばやい判断と技術を要求されるのは桟橋の沖から強い風を受けて離岸をするときです。 人の力で押し離しても行動に移すときには再び船体を桟橋に押し付けられ、無理にプロペラを回せば船体に傷が入ったりします。 このような条件下で離岸するためには船の動きを先の先まで読むことによって頭の中でその操作を整理してこそ敏捷な判断と操作をすることができるわけです。 その要領は、一軸船、二軸船ともに3月号の前進離岸のところで述べている通りです。 船内機船の場合(一軸船) 船内機の船においてはプロペラが放出する水流の向きが変わらないために、ドライブ方式の船と比較した場合にはその動きがかなり変わってきます。たとえば、前述の岸側からの風が強いときにどんなに舵を右側に切って後進に入れたとしても、舵の構造上、船がある程度の速力をつけるまでは舵としての効力が全く生じないために、船首が風に落とされるのと後進にしたときの左方向にかかる横圧によって船体は瞬くうちに右の方に向いてしまい、慌てて舵を効かそうとして槻関の回転を上げれば船尾を桟橋に激しくぶつけることになるでしよう。(図3) したがって、この場合にはドライブ船とは異なり後進にすることはきわめて危険を伴うことになるため行わないほうが賢明であり、船首から−本のバイトロープをとって風に流され、船尾を沖に向くのを待ってからバイトロープをはずし後進にします。 すなわち、3月号の「陸からの風を受けて離岸」の解らん順序を逆にした方法であるわけです。(図4) ![]()
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